Are you all right ?   我が袖は 乾く間もなし 潮干狩り(粗忽)(2)

画像35度近い猛暑の梅雨明けのはずでしたが、台風一過の後は、どんより曇りまして梅雨空のような毎日が続いております。本日は夕立らしいものもありまして、それほど暑くありません。しかし気温を見ると平年並みか、若干下回りまして、それでもむしむしした夏には違いないのであります。異常な去年の暑さに馴らされまして、普通の暑さを暑いと感じないという、幸せのようでもあり、うっかり暑さ対策を忘れそうという点では危険な状態であります。

雑草だらけの家庭菜園のイチゴです。

植えた覚えのない植物はすべて雑草でありますから、イチゴとネギ以外は雑草であります。それに数種類のハーブを虫除けとして、菜園の両端に植えましたが、それらが見えなくなるぐらい、得体の知れない植物がはびこっているのであります。しかし、今年のイチゴは強靱でありまして、葉は大きく茎は高く、そして何と先日から、イチゴの花が咲き始めたのであります。8月でありますから、普通なら花など咲きませんので、放射能の影響が出ているのかも知れません。去年もイチゴを栽培したんでありますから、明らかに去年とは違うなあという感じがいたします。じゃあ、放射能の影響だと証明できるのか?と突っ込まれたら、ごめんなさいであります。因果関係の証明などと言うものが容易でないのは当然でありまして、証明できないけれども、じっと見守ることは出来そうであります。

   Are you all right ? アメリカも日本も、大変なんでありますね。自然災害も人災もあるのでしょう。

画像サルスベリがますます花開きまして、これに蝉の鳴き声が加わります。気温が高くて、適度なお湿りがありますから、庭は雑草天国となり、どうなることか見当も付きません。また鎌を研いで、なぎ払うだけですが、熱中症のことを考えると、やる気にならないのであります。子供の頃を考えると、いま時分は箱買いしてきた桃を独り占めして食べている頃でありまして、これに畑で出来たトウモロコシを朝昼晩と一本以上食べている頃でありまして、さらに高校野球の代表チームの名前を覚えまして、自分なりの優勝チームを予想する頃であります。

宿題は七月中に終了。することはありません。

泳ぎ場の川の水はもう冷たくなりまして、夏休みの集団行動も、一人二人おばあちゃん家へお泊まりに行ったりして崩壊しまして、うつろな寂しい頃なのであります。その代わり、都会の親戚からいとこたちがやってきまして、虫捕りをしたり、スイカを食べたり、山にドライブに行ったりした頃でもあります。ちょっと立ち寄った、叔父や叔母の話し相手を務めますと、高度経済成長期の日本ですから、次から次とお小遣いをもらいまして、お盆前後だけでとんでもない収入だったのであります。すでに日没は早くなり、夕暮れになれば秋の気配が色濃くて、暑さでゆだった親戚にとって、高原の涼しい風は何よりの癒し、眼の前の少年に気前よくお小遣いをはずむのは当然と言えば当然でありました。歳をとり、故郷を放射能で汚染された叔父や叔母は、何を思うのでありましょうか?もう、帰省する年齢でもなくなっておりますが、残念がっている顔は浮かびます。

    玉の緒よ 絶えなば絶えね 長らへば 忍ぶることの 弱りもぞする(『百人一首』第89番・式子内親王)

「私の命よ、ここで絶えるなら絶えよ」というのが、上の句の意味でありまして、「な」も「ね」も、強意の助動詞「ぬ」の活用形でありまして、それぞれ未然形と命令形であります。命を意味する「玉の緒」というのは、おそらくはヘソの緒あたりからの連想で命を指す言葉なのでありましょうが、この「緒」というのが、まあ言ってみれば「ひも」でありますから、「絶え」「長らへ」「弱り」ということばを導くわけで、これを縁語などと言うのであります。実は最近、20年以上はき続けている、夏のスポーツパンツのゴムを入れ替えまして、ふたたび復活であります。ちゃんとしたスポーツメーカーのMIZUNO製でありまして、商品名が「RUNBIRD」、とても柔らかなので買い足して二着もありまして、大切に使っているから長持ちであります。長く使うとゴムがゆるみますが、ゴム通しという道具を使うと難なく修繕できるわけです。ゴムの入れ替えは5分もあれば無意識で出来る作業ですから、自分で替えたことすら忘れておりました。家の中のお針箱の中のゴムが切れておりましたが、100円ショップで105円、10メートルくらいあるはずですから、二着替えても余っております。裁縫も得意な私には、老後の心配は無用でありますね。

     問題は、「忍ぶる」という動詞の活用と、「弱り」という動詞の俗語的性格でありましょうか。

変だなあとは思っていましたが、「忍ぶる」は上二段活用の連体形でありまして、我慢するとか人目を避けるという意味ではこれが正しい活用なのであります。じつは、人を想う、思いを寄せるというのは「しのふ」という四段活用で、まったく別のことばであった「しのぶ」とが混乱しまして、四段活用の方に吸収されたのだそうです。だから、活用形が現代とは違っているわけなのです。それから、「長らへば」というのは、未然形に「ば」が付いている仮定条件ですが、この語形は消滅しましたので、いまは「長らふれば」という、已然形に「ば」の付いた本当は仮定条件でも何でもない形の後継である、「長らえれば」というのが仮定条件を背負っておりますから、もうなんだか支離滅裂な変化の嵐なのであります。ともかく「このまま生き長らえると、この恋を忍び通すことが、困ったことに弱ることにもなるぞよ」というようなことを、歌の後半で述べているわけです。

     「忍恋」という題で詠んだ、百首歌という一人でいろんな歌を詠む企画に参加した時の歌です。

実際に誰かとやりとりした歌ではありませんから、独詠のように見えまして、これ一首で鑑賞することは可能ですけれども、常識なら誰かに贈る、もしくは誰かに返すという場面を考えてみる方がいいでしょう。そして、詠作主体は女でなくても男でもいいわけです。道ならぬ恋であるとか、宮廷のお勤め先で接する物同士の、淡い敬慕が激しい恋情に変化した時の思いを述べているわけで、この時代に『源氏物語』を読むことが奨励されましたから、そうした物語を背景にしたら、よくまとまった佳作であります。ただ気になるのは、内親王という、宮廷女房にかしずかれるような天皇家のお姫様が、自分でこんな歌を紡ぎ出したことが驚きでありまして、この人も西行と同じような天才肌の歌人なのであります。なぜ、高貴なお姫様が歌を詠むと問題かと言えば、歌の内容を作者の体験だと勘違いする人は多いわけで、誰がお相手?というような邪推からは逃れられません。歌はフィクションでありまして、別に作者の実体験であるわけではありません。それなのに、式子内親王の相手は藤原定家と相場が決まっておりまして、中世にはいろいろと想像をたくましくしたそうです。

   歌を詠むというのは知的な操作の問題でありまして、実体験を素直に詠もうというのも一時の流行です。

「弱る」という言葉は、平安時代の後半に使われた俗語に近いものらしいのでありまして、普通は肉体の衰弱を意味する言葉なのであります。「緒」が「弱る」といういい方はないのではないかということで、どうも専門家の見方は「長らへ」と「弱り」を結びつけて縁語とするようであります。このあたりは、『日本国語大辞典』(第二版)を見ると有益でありまして、詳しく書いてあってお勉強になりました。ともかくこの歌は、二人の恋愛がこのまま世間にばれるくらいなら、いっそ死んでしまいたいというのが一首の眼目であります。繰り返し読んでいるうちに、その羞恥心の強さ、愛情の深さ、ばれる前に添い遂げようぞという意志が籠められまして、なかなかずるい気持ちも隠し味の、いい歌なのであります。後半がイマイチなどという評価があるんですが、そう言う方は、古典の和歌を一回だけ読み流すというか、目で読んで判断なさるんですね。不思議な評価があるものです。

    見せばやな 雄島の海人の 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色は変はらず
                                      (『百人一首』第90番・殷富門院大輔)

「涙で色の変わった私の袖を見せたいなあ」という歌なのであります。恋に泣き濡れたために、涙を袖でぬぐってみたら、涙が血の涙でありますから。真っ赤っか、この袖を見たら、だれも本気の恋であることは疑いません、まして恋の相手であるあなたは、というような歌なのであります。どこにもそんなことが書いてないのですけれども、これはそういうことが自然に分かる仕掛けの歌で、とても上手であります。緻密な歌でありまして、このあたりが日本の古典の歌の頂点を形成しているわけです。ここで思うのは、小学生の頃の私たちの袖でありまして、真冬などは、風邪を引いたりしますと鼻水が垂れるわけです。青っ洟などといいまして、なんとも表現できない危険な色の鼻水を垂らす子供がたくさんいたのです。それを、セーターの袖で拭いますから、袖はとんでもない色になっていて、光っていたりしたものです。血涙というのは、蝉の涙のことでありまして、あれだけ鳴いたら蝉の涙はすごい色だろうというのが古代中国の想像力でありまして、秋の紅葉の原因は蝉の血涙なのであります。この歌は、現代では好まれませんが、血涙なんて見たこともないわけで、それもうなずけますね。

    見せ場かな 色かはりたる 海女の袖(粗忽)
     濡れにぞ濡れし あかいなみだに(粗忽)

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