Is that all there is ?  こんなもんなの?(7)

画像木炭を使う七輪でありますが、そんなに高いものではありません。2000年問題の時には、練炭用の七輪を買いました、大鍋を据えてお湯を沸かして用意万端、年末年始を待ち受けましたが、何も起きませんでしたので、やれやれと思いつつ、すぐに引っ越しをしましたので、七輪は処分したように思います。人にあげたかも知れません。2000年問題というのは、コンピューターが誤作動を起こすとか、停止してしまうというようなことがまことしやかに語られました。みんな信じて対策を施しましたが、結局何も起きませんでした。

根拠のない人騒がせだったんですね。

炊飯器なんかが使えなくなるとか、電気や水道がストップするとか、結構まことしやかでありまして、それを否定する人もいませんでしたので、新年を迎えて何も起きないと分かったときに、世間は手のひらを返したように21世紀の狼少年を叩きまして、何だか気の毒でありました。無事でよかったじゃないの、と言うように声を掛けて、すべてを洒落にすることもあってよかったんですが、世間というものは案外きまじめでありましたから、許さなかったのであります。せめて、炊飯器くらい使い物にならないなんてことがあれば、救われたかも知れませんね。

   ザクロの黄葉でありますが、ことしはなかなか落ち葉になりませんが、ようやく散り始めました。

画像高度経済成長によって日本社会というのは、あっという間に戦後を脱却いたしまして、人情も世相もがらりと趣を変え、金があればすべてよしというような、エコノミックアニマルの道を歩んだものでありました。ザクロの落ち葉を見ると、昔近所の人たちと一緒に山に入りまして、冬を越すための薪を作った思い出がよぎるのであります。牧場を越え、川を渡りまして、そこから落ち葉を踏みしめてなだらかな山の中に入り、柴刈りをしたんであります。

「お爺さんは山へ柴刈りに」の柴刈りです。

小春日和の一日、小さな子供を連れて行くくらいですから、本当にゆったりとした冬支度の行事だったのでありましょうね。落ち葉はふかふかでありますし、近所の人が総出ですから、山の斜面をにぎやかに上り下りしまして、子供心にいいもんだなあと思ったのです。田植えや稲刈りをご近所と共同作業していた最後の年ではなかったでしょうか。そんなことがあったことすら、夢のような幻のようなことなのであります。まもなく、柴刈りをした山には、ブルドーザーで道が造成され、別荘地として投機的に買った都会人の、名前の書かれた立て札が点々と地面に刺さりまして、世の中の変化をいやがうえにも感じさせたものであります。みなさん、税金をちゃんと払ったのでありましょうか。残念ながら、新幹線や高速道路は別の所を通りまして、当てが外れたまま山は荒れ果てたのであります。たぶん。

    なんの根拠もないので、世迷いごととご承知下さい。世の中ってそんなもんなんですよ。

画像こんな本を見つけました。関川夏央さんの『昭和が明るかった頃』(文春文庫)でありまして、平成16年(2004)11月10日発行の文庫でありまして、第一刷であります。雑誌『諸君!』に平成7年(1995)から平成12年(2000)まで「吉永小百合という『物語』」というタイトルで連載したものとありまして、単行本の出版が平成14年(2002)11月だったのだそうです。私は関川夏央さんの本は、書店で見つければ必ず手にして、そのままレジに持ち込む習慣なんですが、さて、この本は知りませんでした。

すばらしい着眼点の力作・問題作・傑作です。

もちろん、サユリストの敬愛する吉永小百合さんのこともよく分かりましたが、それ以上に物心が付く寸前の世の中というものがすっきりと整理されまして、芸能界とか歌謡曲とかテレビ局というものが私の頭の中で整理されたのであります。吉永小百合さんは早稲田大学で「敬語」の授業を取ったはずでありまして、その教授は夏休みの宿題にリポートの提出を求めたはずであります。「吉永小百合さんの自筆のリポートを持っております」とその教授はうれしそうに言いながら、みなさんもぜひお出し下さいというようなことを言っていたのであります。どう反応してよいのか分かりませんでしたが、教室の反応を見た教授のほうが驚いたことでしょう。ほぼ、無反応だったのであります。授業の後で、誰一人そのことについて話題に致しませんでした。よその大学の教室でのことでありますが、どれくらいの速度で時代の寵児が忘れ去られたかということなのであります。

    もちろん歴史として知っているんですが、話題にはならないわけです。すてきな女優さんですけれど。

文庫本の表紙については何も説明がないんですが、写真は飯田鉄さんによるもののようです。おそらく、高崎線・東北線の荒川に掛かる鉄橋でありまして、両岸は東京都北区赤羽と埼玉県川口市であります。『キューポラのある街』川口に入るための鉄橋でありまして、吉永小百合さんの人気を決定づけた映画の舞台を象徴する鉄橋であります。この文庫本は、あえて吉永小百合さんの名前をタイトルにすることを封印して、果たして売れたんでありましょうか。気になるのは、日活映画が盛んであった時代、映画館が地方の小さな街にもあった時代というのは、私の意識ではめちゃめちゃ暗いんでありまして、だとすれば、関川夏央さんがこれを連載していた当時が、非常に暗くて相対的に昭和のあの頃が明るく感じられていたと言うことでしょうか。平成の時代から見れば、昭和30年代は明るかったと言うことなのでありましょう。新たに付けた文庫本のタイトルに、違和感を覚えるのであります。

   そこにもまた、時代が封印されているということでしょうか。そんなもんなの?そんなものよ。

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