Down to Xanadu. 桃源の 路地の細さよ 冬ごもり(蕪村)(7)

画像桃の花をご覧いただきます。間もなく桃の節句でありまして、我が家もお雛様を飾ることになるのでありますが、記憶の中では母が実家に持ち込んだお雛様というのが記憶にありまして、お座敷が作ってありまして、欄干とか階段がありましたが、近ごろは3月の花粉症の時期に余計な出歩きはいたしませんので、今でも飾られているのか、それとも物置で静かに朽ちているのか、その辺が分かりません。ともかく、桃の節句と言うくらいですから、花屋やスーパーの生花コーナーに行きますと、南国から届いた桃の花が並んでいたりします。

自然の桃は、3月3日には咲かないことでしょう。

桃の花の開花時期についての、しっかりした記憶と言いますか、いついつ咲くというような感覚がありません。子供時代の桃の木というのは、母屋の正面の畑の中にありまして、これは実っても杏のような大きさの実にしかなりませんでしたから、ほとんど放置され、やがて自然に実が畑に落ちて、あの独特の種が目立つのでありました。メッシュの胡桃の実のようであります。まだ寒い頃に咲いているので、目立たなかったかも知れません。写真は、フォトライブラリーのフリー素材からお借りしまして、カメラマンは四季彩さんであります。

   「桃源郷」で写真を探しますと、当然のように桃の花が咲く風景が出て参りまして、そんなものです。

福島県のちょうど真ん中に三春町という町がありまして、この三春というのは、梅と桃と桜が一斉に咲くので、そこで付けられた名前であるというような説明を聞いたことがあります。そうかも知れないし、そうではないかも知れませんけれども、その土地の実感による地名の語源解説でありますから、尊重していいと思います。城下町でありまして、近隣の郡山市というのが近代に交通の要衝として大都市化しましたけれども、ここは昔のままでありまして、山中には滝桜という見事な桜もあるのであります。だとすると、三春の里では現在の四月の中旬くらいに梅と桃と桜が咲き始めるわけでありましょうし、関東地方などではこの三つの春の花が時間差で咲くということでもあります。陶淵明の桃源郷の場合は、漁師が川をさかのぼっていった先に桃だけの林が出現しまして、その林が尽きたところに山があり、狭い洞窟を抜けると異次元のような集落が出現いたします。桃の花が咲いているのは手前という点に注意する必要があるでしょう。桃の花は別世界への入り口を飾る花道の役割を果たしているのでありまして、桃源郷自体には桃の花が咲き乱れているわけではないと言うことのようであります。

   手元の角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラッシック中国の古典『陶淵明』(釜谷武志著)で紹介します。

画像申し訳ないと思いますのは、表紙の絵がきれいなんでありますが、撮影する時に影が入りまして、薄紫のきれいな色を再現できておりません。中央に緑の壺がありまして、蓋が持ち上がり、壺の中に赤い木の実を放り込んだのか、それとも壺から赤い実が飛び出そうとしているのか、というような図柄であります。赤い実は、ナンテンの実のようであり、マンリョウの実のようでもありまして、枝の形状からサクランボではありませんが、それ以上のことは私には分かりません。カバー担当は谷口広樹さんとありまして、昭和32年(1957)生まれの方ですが、現在東京工芸大学教授でありまして、長野オリンピックの開会式・閉会式のプログラムを担当されたようであります。パステル調の色使いが暖かみと落ち着きを感じさせまして、今回の表紙も興味のある方は本屋で現物をご覧になるのがいいと思います。

さて、桃源郷のもとの漢詩・漢文は?

この文庫本のいいところは、『桃花源記幷びに序』がどうやらすべて収録され、全訳されていることでありまして、一般には漢詩の方が省略されるのであります。よく分からないのでありますが、あとから出て来る漢詩の方が『桃花源記』のはずでありまして、最初に出て来る散文の冒険記の方が「序」なのでありましょうね。当たり前すぎて専門の方は言わないのでありましょうけれども、漢詩のタイトルが『桃花源記』と言うのかどうか、この年になってしまうと人にものを尋ねるのがおっくうでありますから、実は逆だったら嫌だなあと思っているのであります。まあしかし、世間の人は桃源郷というのは桃の花が咲いているところだと思い込んでいるでしょうから、五十歩百歩、大差ないのであります。

   おや、本の紹介だけでこんなになってしまいました。これから読むんでありますよ。これからです。

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