Is it named jellyfish ?  憂きことを 海月に語る 海鼠かな(10)

画像久し振りに暖かな一日でありまして、日中まったく暖房が要らないくらいでありました。ふと思い出してオオキバナカタバミを見てみますと、二輪ほど開花しておりまして、よくぞ生き残っていたという具合であります。細い路地の日溜まりでありまして、去年は数えきれないくらいのカタバミの花園だったところですが、二度の雪と連日の低温にいじめ抜かれて、咲いているのが奇蹟なのであります。

カタバミの中でも花びらは随一の大きさ。

これでも日中の気温は15度を下回りまして、決して暖かくなんか無かったのでありますが、体のほうは寒さに適応しておりますから、本日はぽかぽか陽気のように感じてしまうわけであります。夏が終わり秋が過ぎて晩秋の一日に、日中の最高気温が15度だったら、結構寒い日でありまして、冬の到来を予感する陽気と言うことになることでしょう。晩秋と早春を比べたら、気温は遙かに早春のほうが低いわけでありまして、体の順応することが案外多いという点については注意を払っておいていいことかも知れません。赤道直下で生まれ育った人も、日本の冬に何とか適応したりするものであります。

   「うきことを くらげにかたる なまこかな」(召波)の句をつらつら考えてきました。

画像この召波という俳人は京都の人でありまして、別名は春泥舎と号したようですが、もともと黒柳清兵衛という商人だったようです。一般にはあまり有名ではない人であります。与謝蕪村の愛弟子だったそうですが、蕪村より先に亡くなりまして、本来は漢詩人だったのだそうです。蕪村は蕪村で、画業のほうが好調でありまして、周囲に乞われてしぶしぶ俳諧師匠の夜半亭を継いだというようなことなんですが、炭太祇やこの召波なんかがいたので俳諧を捨てなかったようであります。学校教育を受けておりますと、芭蕉、芭蕉、芭蕉でありまして、蕪村のことも一茶のこともちっとも教わらないために、かえって新鮮でありますね。新鮮すぎるかも知れません。

写真は春の泥を昨日かぶったスノーフレーク。

蕪村の俳諧というのは、もともと漢詩を好む人だったせいもあって、俗っぽさが足りませんから、すぐに世間に忘れられたのだそうです。小林一茶は田舎の俳人ですからこれも目立たないんですが、どうやら明治時代の正岡子規が再評価したことによって、近代に蕪村も一茶も脚光を浴びることになったようであります。一茶の場合は、『父の終焉日記』が自然主義を唱える人の目にとまり、白樺派なんかからも評価されて、文学史の重要俳人に祭り上げられたようでありまして、誰が誰を再評価したのかという視点がないと、文学というのは面白く感じないような気がいたします。歌謡曲だって、その場の流行だけならすぐに忘れ去られてしまいますけれども、積極的な評価を試みる人が出てきて初めて古典となるような気がするわけです。由紀さおりさんの場合は、外国のピンク・マルティーニというオーケストラの代表が日本人の美人歌手に目を留めたことによって、再評価の道が開けたわけであります。いいものはいいんですけれども、それだけでは歴史の彼方に消えかねないわけで、それを敬意を持って褒めちぎる人が出てきて初めて本当の評価につながるのかも知れません。

   『俳諧大辞典』(明治書院)の蕪村の項目を見たら、つい感動してしまいました。ドラマチック。

昭和32年(1957)に出たものなんでありますが、手元のものは平成2年(1990)の第27版というものなのでありますが、白いカバーが掛けてありまして、そこに「文部大臣賞受賞」とすり込んであるのです。ところどころ拾い読みしてみますと、たんなる事実の羅列ではなくて、かなり踏み込んだ評価であるとか、人生の機微について記してあるんですね。たとえば、召波については、師匠である蕪村の風流に従うあまりに独自の句がないというような批判が書いてあったりするんです。これはすごいことでありまして、だから蕪村の項目も通り一遍の紹介ではなくて、どんなに蕪村がみんなから慕われていたかというような点を、噛んで含めるように教えてくれるのであります。この辞典の記述をもとにしたら、蕪村の映画が出来ちゃうような感じなんですが、すごい辞典があったものでありますね。小林一茶も与謝蕪村も、それから炭太祇も、今からでも再評価して映画にでもアニメにでもこさえて、この機会に世界に売り出しましょう。

    由紀さおりさんの歌を、いろんな場面に散りばめれば、世界中で見てくれるかも知れませんよ。

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