We need moxibustion.  必ず灸すべし。(8)

画像毎日毎日お茶を飲んでおります。起きるとすぐにお茶を飲みまして、コーヒーも飲みますが、冬になると紅茶をせっせと飲むのであります。冬の初めはミルクティーを飲まないと風邪を引きそうな気持ちがしまして、飲んだあとは毛穴から湯気が立つのであります。冗談ではなくて、本当にそうでありまして、車に乗りますと私のそばのガラスだけが白く曇るのであります。紅茶を飲むともっと激しくなりまして、おそらく渇水になりましたら、私をラップして一時間も転がしておけば、飲料水の雫が採れるかも知れません。

写真は、香川県三豊市高瀬町の茶畑。

フォトライブラリーのフリー素材を、今回もありがたく利用いたしました。カメラマンはkazuさんという方でありますけれども、プロフィールを見ますと「中国・四国地方(主に四国4県と岡山、鳥取)で身近な風景を中心に撮影しています」とありまして、心なしか太陽が強いのでしょうか、色彩が明るいような気がいたします。茶畑のない寒冷地で育ちましたので、東海道新幹線で茶畑の中を通るときにはいつもうっとりしながら見惚れていたのであります。お茶とかミカンというのは、何となく暖かい気候の申し子のような気がいたしまして、「暖かいところに行きなさい」という母の言葉を茶畑を見たりすると思い出してしまうわけであります。お茶の発見というのは案外人類にとっては新しいことでありまして、またたく間に中国から世界中に広まり、商品作物としては今でも重要な位置を占めていることでありましょう。

   この冬飲みましたのは「ほうじ茶」、そして今飲んでいるのは「さつま紅茶」であります。

今まで我が家では「ほうじ茶」を飲まなかったのでありますが、この冬はマイブームという感じで「ほうじ茶」を飲んでいたのであります。京都のお茶屋さんの赤い「ほうじ茶」を飲んでいたこともありまして、焙じたお茶を飲むことが新鮮でありましたので、朝晩の定番になってしまいました。それとは別に、歌謡曲を思い出して「オレンジ・ペコ」をこの一ヶ月ほど飲みましたが、一昨日くらいから「さつま紅茶」と言うものを飲み始めまして、これは知覧茶を扱っているお店がデパートの九州フェアに出店していて、そこですすめられたものであります。昭和の初めに知覧付近では紅茶の生産を始めたんでありますが、高度経済成長以後、貿易の自由化によってやむなく緑茶へシフトしたようでありまして、日本の経済的な地位が上がりますと、農産物は海外から入ってくるものに押されてしまうのでありまして、そう言う苦い思いを知覧では味わったことがあると言うことなのであります。紅茶一つにも歴史があり、世の中というもの経済というもの農業というものは複雑だということですね。

   さて、「カロウト」というものが「唐櫃」であることは理解しましたが、ある問題に突き当たりました。

実家の押し入れに母が花嫁道具として持ち込んだ「カロウト」があったというのは、私の記憶の問題でありまして、本当にあったのか、今でもどこかにしまってあるのか、その辺は不明瞭でありますが、確かに見た記憶があるのであります。これを「カロウト」と今でも呼ぶのかどうか考えまして、「茶櫃」という言葉を出したのであります。ところが、「茶櫃」をグーグルの画像検索で調べてみますと、出て来るのは急須とお茶碗をしまっておく、円形のおひつのようなものでありまして、それは見覚えがあります。直径30㎝くらいで、高さが15㎝くらいのものでありまして、蓋がお盆代わりになるもので、今でも旅館などに行きますと、それの中に必要な茶道具がしまってあったりするんですね。お茶っ葉を入れておくのは「茶筒」でありますが、「茶筒」よりも遙かに大きいものの名前が「茶櫃」のようでありまして、そうかあの木で出来た平べったい円筒形の、カーリングのストーンのような大きさの器こそが「茶櫃」であったのかと驚きました。

   じゃあ、衣類を収納する「カロウト」を何と言うのかと思うと、あれは今は「茶箱」というのであります。

私は世間知らずなもんですから、「茶箱」のことをずっと「茶櫃」と思っていたようでありまして、時折子供時代の蚊帳をつった寝室を思い出して、母が作ってくれた『鉄腕アトム』の浴衣なんかを思い浮かべるついでに、押し入れの奥にあった「カロウト」のことを「茶櫃」みたいと思っていたことを、先程から恥じていたのであります。うっかりしたなあ、困ったなあ、こっそり記事を書き改めて、素知らぬふりをして見ようかなあと、まあそういうふうにネガティブな気持ちになっていたのであります。ありますが、どうも様子がおかしいのであります。どういうことかと言いますと、実は「茶櫃」の画像をずっと下の方まで眺めておりましたら、一枚だけどうしても「茶箱」に見えるものがありまして、これがどうやらJTの商品広告に使われている写真のようであります。JTの出している「辻利」というペットボトルのお茶の宣伝でありまして、京都の老舗のお茶屋さんである辻利とタイアップして出している日本茶なんですが、その宣伝の中で「茶櫃」は辻利が考案したものであると謳いまして、掲げてある写真はどこをどう眺めて見ても「茶箱」なのであります。……? あれ。あれれ。

   驚くなかれ、小学館刊の『日本国語大辞典』(第二版)の「茶櫃」は「カロウト」の事であります。

結論だけ言ってしまうと、「茶箱」に二つの意味がありまして、一つは、お茶を運ぶための大型の木箱の事だと出ていまして、湿気を避けるので衣類の収納にも使うとでております。これは、私の母の花嫁道具のことではありませんか。「茶箱」の二つめが、茶を点てる道具を一式運ぶ箱とありまして、これは茶道関係の人が使う道具入れのことでありますね。これも箱でありましょう。そこで、『日本国語大辞典』(第二版)の「茶櫃」を見てみると、(はっきり言って仰天したわけですが)なんと〈「茶箱」①に同じ〉とあるんですね。要するに、この日本を代表する超大型の専門辞書において、「茶櫃」というのは世間一般に流通している「茶箱」のことでありまして、それは辻利の考案した内側にブリキを貼ったものなのであります。まごうことなき「カロウト」のことなのであります。……はあ、はあ。なんか動悸がしてきました。

   じゃあ、世間が「茶櫃」と言っているあの言葉と商品の結びつきは、何なんでしょうね。何なの?

画像三省堂の出している『三省堂国語辞典』を見ると、「茶箱」はありますが、「茶櫃」は無いのでありまして、ますます謎は深まりますね。古いものを見ても、新しいのを見ても同じであります。

写真は、二冊の『三省堂国語辞書』。古いのは貰い物。

おいおい調べて行くことにして、余計なことを書きますと、神奈川県に「かろうと山古墳」というのがありまして、どうやら遺体を収める石室のようであります。また、神戸には唐櫃小学校や唐櫃インターチェンジがありますが、これは「からと」と読むんだそうであります。関西の方は、この言葉をあまり珍しいとは感じないかも知れませんね。特に神戸の方は知っているんでありましょう。「唐櫃」の画像を見ますと、箱に足が付いておりまして、この足が無いものは「倭櫃(わびつ)」とか「和櫃(やまとびつ)」と言うそうでありまして、辻利が工夫したのはこの足のないものの内部に貼りものをして湿気をよけようとしたという点なのでしょう。考えて見ると、「長櫃」というのがありまして、「米櫃」なんてものもあります。四角い容器が櫃のような気がしてしまいまして、そうか「棺(ひつぎ)」というものもありましたね。形状はともかく、「ひつ」というのは大きな入れ物のことであります。

   パソコンというのは、知識や学問の「棺(ひつぎ)」でありましょう。図書館もまた同様であります。

この記事へのコメント

kazu
2012年03月23日 06:38
おはようございます。
お返事おそくなってしまいました。
ブログに写真を使っていただきありがとうございます。
コメントもいただいてたいへん嬉しく思っています。
更新の頻度は低いですがフリーの写真もどんどん増やそうと思っていますので、また機会があればどうぞ使ってやってください。

この写真を撮ったのは梅雨の晴れ間で、雨と初夏の日差しを浴びて元気に輝いていました。
粗忽庵
2012年03月23日 12:09
kazuさん、コメントありがとうございます。
いろんなことを、とりとめもなく書いているブログなので、
写真の足りないときには、フリー素材のお世話になっております。
茶畑の写真の中で、色合いがいいなあと思って使わせていただきました。

そうですか、梅雨の晴れ間と言うことで納得です。
いい写真をどんどん撮って下さい。

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