Play down any connection !  うちとけて寝も見ぬものを。(3)

近所をぶらぶら致しましたら、ヒマワリはとうに終わっておりまして、何となく首を垂れて反省しているような具合であります。ムクゲが咲いているのを見まして、我が家のはまだだなあと感じたのであります。散歩が終わって帰ってきたら画像睡魔に襲われまして、エアコンも付けないで自然の風が心地よいままに眠りこけました。午後3時くらいの気温が26度でありますから、これはここ2か月くらいの最低気温の平均でありまして、これで気分がよくないはずがないのであります。春先だったり秋だったりしたら暑いくらいの26度が、これはもう最高の冷気となって身を包みまして、生きていてよかったなんて思うのであります。

午後はしぼんでいたヘチマの花。そうだったのか。

この3年の夏の暑さというのは耐え難い物がありましたが、ふと思い付いたのでありますが、この50年くらい、日本社会は塩分を目の敵として追放しまして、味噌汁を薄くしろなんて言っていた物であります。テレビなんかで、味噌汁には塩分がこれこれ入っているので、これを控えるだけで、長生きできますよとレクチャーされてきました。塩っ辛い味噌汁を飲むのは百姓でありまして、この田舎物がいつまでしょっぱい味噌汁飲むかね、というような具合でありましたが、その時点でほぼ世界一の長寿だったのに、何を血眼になって寿命を延ばそうと画策したんでありましょうか。何が言いたいのかというと、薄い味噌汁くらいまずい物はありませんから、多くの家庭から味噌汁が駆逐されまして、うっかりするとご飯に炭酸ジュースという子供だっているんであります。いますよ。実在するんでありますけれども、それはさておき、問題は熱中症対策としてしょっぱい味噌汁はどうなのか。言い方を変えると、味噌汁を飲んでないために、塩分が不足して熱中症になっていた人はいないのかどうか。プロの料理人が調理すると、下ごしらえの段階で、これでもかこれでもかと塩を投入しまして、イタリアンしかり、ステーキしかり、そして日本料理もまた塩をどばどば投入するのであります。味噌汁と熱中症の関係なんか別に調べなくてもいいんですけれども、味噌汁自体がインスタントな料理でありまして、長寿の敵のように扱っていたことを反省する時期に来ているんじゃないでしょうか。不況・デフレ・増税の日本社会は、味噌汁でしのぐのが一番かも知れませんね。さて、切らさぬように味噌を買いに行かなくては。

      春の日の うららにさして ゆく船は 棹のしづくも 花ぞ散りける(『源氏物語』「胡蝶」の巻)

画像何かどこかで見たような和歌でありまして、いったいどこで見たのでありましょうか。これは『源氏物語』の第24帖「胡蝶」の巻の最初の方に出て来る和歌でありまして、船遊びの際に女房たちが詠んだ歌の一つであります。六条邸の東南と言いますか巽(辰巳)の方角の住まいは、紫の上と光源氏の居所でありまして、それに対して、西南すなわち坤(未申)の住まいが秋好む中宮のお里なのであります。両者の庭の池がつながっているので、晩春の三月に船遊びをして交流するという、非常に明るく楽しい話題が「胡蝶」の巻のオープニングであります。

ヘンルーダの茂みの中に、ミスジマイマイ発見。

物語の中としてはごく普通の和歌でありますけれども、これは武島羽衣さんが作詞した「花」の一番の歌詞によく似ているのであります。作曲は滝廉太郎さんでありまして、スカイツリーが完成したこともあって、今後もこの「花」という隅田川の春の眺望を見事にとらえた文部省唱歌は歌い継がれていくことが確実でありましょう。それにしても、あの歌には「春」「うらら」「櫂のしづくも」「花と散り」とありますから、これはもう本歌取りと言いますか、古典中の古典『源氏物語』の上に示した和歌を下敷きにしたことは確実でありましょう。今までそんな話は聞いたことがないのでありまして、ウィキペディアの「花」の解説も、隅田川のレガッタを歌詞にしたのだと、まるで実景をもとにしたという解釈でありますけれども、実はそんなことは無くて、溢れる教養からしたたり落ちた見事な滴であったことが分かります。

   春のうららの隅田川、のぼりくだりの船人が櫂のしづくも花と散る、ながめを何にたとふべき。(『花』)

思い掛けないところに、思い掛けないものを発見しまして、びっくりしましたが、これはもちろん気が付いている人は知っていたはずでありまして、教養が身についている方にとっては、何の不思議でもないことでありましょう。しかし、無教養画像を地で行く者にとってはびっくりでありますから、脳味噌の中を「大手柄、大手柄」という言葉が繰り返し流れるのであります。「発見」というのは何ら立派なことではないのでありまして、要するにおのれの無知蒙昧を熟知している場合に使う言葉であります。アメリカ大陸の発見というのは、要するにそこに大陸があるとは知らなかったという無知を言っているのでありまして、何でもお見通しの方から見たら、今頃気が付いたの?というようなことであります。

茂りに茂るガクアジサイ。来年の花芽がもうあるとか。

秋好む中宮というのは、もちろん六条御息所のお嬢さんでありまして、伊勢の斎宮になっていた人であります。母の六条御息所が亡くなった後で、光源氏が後見人となって冷泉帝の後宮に入った人であります。この人のいる南西の辺りが本来の屋敷跡でありまして、後は周囲を手に入れて拡張したことになっております。今で言う再開発でありますけれども、紫式部がそういう構想をどこで思い付いたのか、気になるところであります。もちろん、嵯峨源氏で左大臣まで上り詰めた源融の営んだとういう「河原院」もベースにあるんですが、ひょっとして夕顔が頓死した例の廃屋が実は北東の花散里の住む「夏の町」だったのかと思うんですが、いかがでありましょう。花散里の元に玉鬘が同居するんですけれども、だとすれば玉鬘は母の最期の地を住まいにするわけで、ひょっとすると物の怪の除霊と母の鎮魂が裏に秘められていてもいいわけであります。単なる思いつきでありますが、ひょっとすればひょっとするのでありましょう。現代語訳で読んで参りますと、余りストレスを感じないのがいいのでありまして、『源氏物語』というのは肩の凝らない娯楽であります。

   野菜がぐっと値を下げておりまして、買い物にストレスが随分減りました。鳴門金時、2㎏800円。

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