TRDMC 涙こぼるるのみ。(5)

あ~あ、何だか寒いなあと思うのでありまして、桜が咲いてなければこの残念な気分はさらさらなかったかも知れません。本日は最低気温が8・3度とあるんですが、1981年から2010年の30年平均で見ると、この時期の最低気温は4・1度とありまして、本日は恨めしくなるほど寒い日ではないのであります。それでも、桜が咲いたと言うからには、お花見に画像は行きたいし、桜の下に座り込んだら飲みたいわけでありまして、それなのにこの寒さではどうにもならないのであります。もっとちゃんと暖かくなってから咲けばいいのに、桜もそのあたりの空気の読めない樹木でありまして、うっかり咲いてしまったようであります。このまま行くと、暖かくなった頃には桜はあらかた散り敷きまして、花見が出来ないことに対して涙がこぼれる人も出て来そうです。

散り始めたユキヤナギ。

頼んでもいないのに、庭師さんがユキヤナギを短く切り詰めまして、枝らしい枝がないような有様になって冬を越しましたので、ひょっとしたら咲かないのじゃないかと思っていたのであります。軒下にありまして、出入りの邪魔になる位置にありまして、伸び放題の枝が通路を塞ぐような有様でしたので、さすがにばっさりと切られてしまったのであります。そういうことにならないように、庭のどこか空いているスペースに移そうとおもいまして、シャベルを周辺に入れて見ましたが、何か屈強な根っこが張っておりまして、よく見るとユキヤナギの真ん中に直径10㎝くらいの切り株を発見いたしました。それがユキヤナギの幹の跡とは思われませんから、何か別の植物と抱き合わせで植えられていたのだろうと推測するんですが、結局謎であります。そのままの位置で年を越し、さてどうなるのかと思いきや、思いがけずボリュームのある花が咲き、大変満足したのであります。素人考えであれこれ考えても、専門の方には叶わないということであります。恐れ入谷の鬼子母神とはこのことでございますね。

   元荒川のことをつらつら考えましたが、この川の川岸は桜の名所ばかり。

治水事業というのは関東平野にとって必須のものでありまして、荒川・利根川・鬼怒川・那珂川が氾濫するとどうなっちゃうのかというのは、これは想像してみても簡単であります。昭和22年(1947)にカスリーン台風というのが房総半島沖を通過していったのでありますけれども、これによって利根川が氾濫しまして、これに荒川の氾濫が加わって大変なこ画像とになったらしいのであります。キャサリンじゃないの?と思うんでありますけれども、”Kathleen”というのが英語の綴りだそうでありまして、なるほどアメリカ人の発音通りなら「カスリーン」でありますが、「キャサリン」のほうがなじみ深いような気もいたします。アメリカの人気テレビドラマである『CSI』に出て来る「キャサリン・ウィローズ」の綴りは”Catherine Willows”でありまして頭文字が違うのであります。よく見るとLとRの違いもありまして、面倒くさい所があるものです。

ブーケのようなローズマリーの花。

こうなると気になるのは、松任谷由実さんのアルバム『流線型'80』の中に出て来る「キャサリン」でありまして、どっちの綴りだったのか、どこかに英語の綴りで出てないのか、探求することがまた一つ見つかりました。ともかく、カスリーン台風の被害というのは桁違いでありまして、死者・行方不明者が1900人を越えるというのですから、めまいを起こしてしまいそうであります。この台風に関するウィキペディアの記事を読んでいるだけで、映画を一本見ているような錯覚に陥りまして、今の水元公園のあたりにあった「桜堤」をめぐる緊迫した状況は手に汗握ると言っても過言ではないのであります。押し寄せた濁流が「桜堤」で食い止められまして、東京の下町は一見助かったように見えるんですが、ここで水が溜まりに溜まりまして、この堤が決壊したらどれだけの被害が生じるかということでありまして、一部を爆破して水を逃がさねばならないというところに追い詰められたというのであります。さて、どうなったか。爆破は成功したのか、しなかったのか。衝撃の結末は映画が公開されましたら劇場でご覧下さいませ。映画の脚本は私が請け負いますけれども、残念ながら企画自体がどこにも上がっていないようであります。

   戦後すぐのことでありまして、連合国の占領下でありました。

荒川の決壊箇所は、元荒川を切り離した土手でありまして、台風による大量の雨水が秩父盆地からあふれ出まして熊谷市の荒川の土手を切り崩して、本来の荒川の姿を取り戻してしまったようであります。これが下流に行くに従って利根川から溢れた洪水と一緒になりまして、一路東京湾を目指して田畑や住宅を水浸しにしていったと言うことのようで画像あります。戦後の日本は近代的な治水事業に本格的に乗り出しまして、堤防を延々と築きまして、その堤防の上にソメイヨシノをせっせと植えましたので、今現在各地で人気のある桜の名所は、堤防に沿って何百という数の桜が植えられた所であります。東京なら目黒川のほとりでありますし、東北地方なら白石川の一目千本桜なのであります。これが埼玉県なら熊谷の桜堤でありまして、人気の高い花見スポットだそうでありますけれども、これは元荒川を切り離した土手のことなんでありましょう。

本日も閉じているオオキバナカタバミ。

萩原朔太郎の「桜」という詩の涙は、これは古典の伝統に則して散る花を憂える涙のはずなんですが、治水事業が終わった後の土手の桜を見て涙する人はきっといるはずでありまして、失われた命のことを考えたり、生活を脅かす洪水から守られているという感慨まで、幅広いのかも知れません。花見に浮かれている人の事を理解できないと申しましたけれども、ここまでつらつら考えてくると、堤防に並ぶ桜並木には単に美しいだけではない、生活の安全にかかわる切実なものが潜んでいるわけで、そういうまなざしで桜を眺めまして、陽気に明るく盃を回している人だっているだろうと思い至るわけであります。それから、昨日の記事の中で、元荒川を切り離したけれども、そこに水源があるのが分からないと書いたんでありますが、一晩経ちましたら思い当たりました。川というのは古くは生活用水でありますし、場合によっては舟を浮かべて物流の大切な運搬機能を担っているのでありました。川をせき止めて水がなくなって干からびましたら、みんな困ってしまうのでありまして、当然ながら水源のある所を突き止めて置いて切り離すことでしょう。それでも、元荒川の場合は水源の湧き水が涸れてしまいましてやむなく地下水を汲み上げていると言うことでありまして、上流域では使った農業用水などをせっせと元荒川に還元しているそうであります。

   こうなると、利根川上流域にある八ッ場ダムの問題も違って見えてしまいます。

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