I accomplished the impossible.やれやれ『こころ』を読み終えた。(2)

台風の影響でありましょうか、本日は朝からずっと曇っておりまして、夕方を迎える頃には雨も降り始めましたが、日中の最高気温は27・2度、夜になって23度くらいまで気温が下がりまして、連日の暑さは一段落したのであります。なるほど、こういう日があるなら平均気温は下がりまして、夏と言えども涼しい日はあるものなのです。この涼画像しさはここ数年には無いことでありまして、秋の彼岸くらいまで連日猛暑が続いたのとはちょっと違っているのであります。ここのところ、セミが鳴いておりまして、蝶々もアゲハ蝶やツマグロヒョウモンがひらひらしているんですが、どうしたことか玄関のあたりにさなぎになったのがありまして、さてこいつは羽化すると何色の蝶々になるのでありましょうか。

暑さに耐えかねて冷たい金属にしがみついたサナギ。

近ごろ新聞を読んだり、新聞社のデジタル・サイトを見たりしますと、日本が今後人口減が続くと社会が崩壊するというようなコンセプトで掲載された記事が目につきまして、盛んに危機感を煽っていたりします。例えば、高度経済成長の時代に作られた団地群の寂れ具合とか、田舎の集落が限界にきて生活できないとか、そんなことであります。一見もっともらしくて、非常に説得力があるんですけれども、新聞社には新聞社の目論見があり、人目を引く記事を出したいという思惑もありますので、眉に唾をべっとりつけて読むことにしているのであります。両親に子供二人のために設計された団地に、結婚した若夫婦が身を寄せるスペースはありませんし、あそこはもともと幼児を生んで育てるための物ではなかったはず。乳児の鳴き声がうるさいと追い出されたアパートから移り住むための、期間限定住宅だったのに、寂れた寂れたと騒ぐのはどうしてなのか。また、山奥の集落から進学や就職で都会に出たら、帰省するのも一苦労の僻地にどうして出戻れましょうか。100年前なら、団地の造成地は狐狸の住む雑木林であり、山間の僻地は炭焼き小屋くらいしかない入会地だったかもしれないのであります。そういうことを抜きにして、寂れた、人が減ったというのは愚かでありましょう。

  100年前の小説『こころ』以前は、東京より新潟のほうが人口が多かったかも。

今から100年前と言うのが、漱石さんが東京で『こころ』を執筆していたころでありまして、それが大正3年(1914)なのであります。その頃には、東京府は人口が300万人を超えておりまして、人口200万に満たない新潟よりもはるかに多くの住人を抱えていたのであります。しかし、過去の統計を見てみると、明治26年(1893)を境に東京が新潟の人口を抜き去ったのでありまして、それ以前は東京には150万人くらいしか人口がなく、170万人を擁する新潟より人口は少なかったと分かるのであります。漱石さんは明治26年に帝国大学英文科を卒業しておりまして、卒業生は彼ひとり、そのまま大学院に進んだのだそうです。明治には明治の人口流動があり、それは田舎の村画像でも町でも影響を受けたはずで、新しい集落ができ、その一方で寂れたところが出たはずなのであります。漱石さんの死後、関東大震災が起きまして、それが大正12年(1923)のことですが、その結果雑司が谷墓地の周辺はとんでもない人口流入が起きまして、超過密になったりしたはずなのであります。何が起きるか、予測もつかないものなのです。

紫蘇畑をテリトリーにするカナヘビ。

角川書店の角川ソフィア文庫「ビギナーズクラッシクス・近代文学編」に「漱石の『こころ』」と言うのがあるんですが、平成17年(2005)に出たものであります。5月くらいにAmazon.comで買い求めましたが、今回『こころ』をすべてよみ終えたのを機に眺めてみましたけれども、随分詳しい解説書であります。それを読んで、それはどうかな、違うのではないかと思った点がありまして、その1点目は、先生と奥さんをセックスレス夫婦であると指摘したところ(上巻・第8節・31ページ)であります。先生を性的不能であるとまで言うんですけれども、それは違うんじゃないか、そうは読めまいと思いました。下巻・第20節で留守番を頼んだ先生が帰宅しますが、その時の奥さんは主人公と話し込んでいたのと打って変わって、嬉しそうに夫を迎えまして、そういう奥さんの自然な態度は、夫婦間に性的なわだかまりが溜まっている様子ではなさそうであります。もう1点は、下宿屋の母子を「軍人遺族」として捉える見解でありますが、下巻・第10節・142ページでありますが、違和感はあるんですが否定するほどの考えもこちらにはないのであります。死を選ぶ先生の判断に「武士道」があるとするのも、さてどうなのか。判断の付きかねるところがあります。

  武士道よりは、もうちょっと個人的な過去の清算ではないかと思うのであります。

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