Only I know all.ついに漱石『こころ』を読み通す(9)

あちちちち、とても熱いです。ここに来るまでのアスファルトの熱さときたら、こりゃあもうフライパンでゴマを炒っているような熱さでございました。やっぱりこう車の下というのは、非常に落ち着くわけでありまして、日に焙られないで昼寝するのには最高であります。だ、誰でしょう、私のこの寛いだ姿を撮影しようとしているのは、まあ、昼寝を邪魔するのでないなら、目くじらを立てずに許してあげます。逃げ出すだけの気力ももうありませんので、どうぞ画像お好きなだけ撮影なさいな。しかしなあ、この猫の着ぐるみをたまには脱ぎたいものであります。世の中には、「ふなっしー」というのがいるらしいんですが、こっちは「ねこだまっしー」でありまして、あちらが激しく動くのならば、こっちはひっそりと伸びていたいと思います。

放熱のために伸びきっている猫。

10年くらい前のことですが、夏のある日、我が家の駐車スペースの車の下に、猫が死んだように寝ていることがありまして、6時間くらいピクリとも動かないということがありました。やっぱり死んでいるんだ、と思いまして、その猫を飼っているお家にお宅の猫は死んでますよと告げに行ったんですが、そちらも忙しかったんでありましょう、はあそうですかそりゃどうも、というような話でありまして、やれ困ったどうしようと思ったんですが、もどってエンジンをいよいよかけようとしたら、すっと起き上がっていなくなりました。猫と言うのは本来の体躯は非常に貧弱な生きものでありまして、それはお風呂に浮かべればわかることであります。普通の猫が、実はネズミ程度のボリュームでありまして、着ている毛皮の毛の部分がふわふわしていて、貧弱な姿をふっくらと犬ほどの大きさに見せているのであります。人間が熱中症になるなら、猫だってなるはずでありまして、日本列島全体では大変な犠牲が出ていることでありましょう。ご冥福を祈りたいと思います。

   さて、夏目漱石作『こころ』でありますが、先生の潔癖症の由来であります。

下巻の「先生と遺書」第52節で、結婚後の先生の煩悶が語られているのであります。どうも先生の態度が変だったようでありまして、奥様である「静」さんはしばしば先生を追及したような話なのであります。これに対して、先生は正直に友人の死の原因を話そうかどうか迷ったようでありまして、「純白なものにインクを振り掛ける」ことを避けようと思ったとあるのであります。上巻で語られた、テーブルカバーの潔癖なまでの白さを好むということが思い画像起こされまして、先生が自分の妻というものをいかに美しく純白な存在として愛していたか、それを自分の過失による友人の死というインクで汚したくなかったか、分かるようでいて分からない話なのであります。この場合、三角関係を出し抜こうとしたという告白を先生がためらっていることに、非常に重要なことが隠れているような気がします。

トマトとキュウリ、蚊取り線香と剪定ばさみ。

先生は自分を欺いた叔父と同じように、友人を欺いたと思ったのであります。先生は自分に非がある、自分に責任があると思いたいのでありまして、世話をした友人「k」の死に関して自分の関与が重大であると認識しようとしたのであります。これはまあ、致し方のないことなのであります。しかしながら、友人が仮に元気でまともであったならば、彼はお嬢さんを熱烈にアタックしてものにしてもよかったし、下宿での共同生活を辞退して丁重にお礼を言って自立してもよかったのであります。もしかしたら、先生は自分に非がないということを知っているんですが、非がないと主張する自分を許せないのかもしれないのであります。妻に対して友人の死は私とは関係ない、俺は被害者であると居直ることが耐えられなかったかもしれないのであります。人は背負える重荷は背負ってみたいものかもしれません。そういう人が私の身近にいまして、その人の背負ったものを最近になって気が付いたのであります。私はぼんやりした人間ですから、重荷を背負っているらしいことに気が付かなかったのであります。不幸な事故がありまして、一方が亡くなり、一方は死なずに済みましたが、実は二人が連れ立っていたことを知る人は少ないのであります。放課後の下校の際に二人が一緒に帰るのを見まして、翌日の朝の新聞に事故の話題が出ておりました。下校しようとしたところを私が目撃していたことは、たぶん死なずに済んだあの人は知らないのであります。それはともかく、小説『こころ』のお嬢さん、すなわち妻の「静」さんはちゃんと先生に非はないと分かっていたはずなのでありまして、妻として分かってあげていることを、よく分からないでいる夫の先生のことが、ずっと腑に落ちなかったのでありましょう。友人は「でくのぼう」であり、「でれすけ」だったはずなんです。

  夏目漱石さんも藤村操の自殺に関して、背負える重荷を背負ってみたのでありましょう。

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