Float like a butterfly, sting like a bee.戦術の妙(2)

新聞なんて
むやみなうそを
つくもんだ。

世の中に
何がいちばん
法螺を吹くといって、
新聞ほどの
法螺吹きはあるまい。

おれは
新聞を丸めて
庭へなげつけたが、
それでもまだ
気に入らなかったから、
わざわざ後架へ持って行って
棄ててきた。


さて、誰の言葉でありましょう。もちろん、私の個人的感想ではありません。私はそんな暴言は吐きたくても吐けないのであります。何か事情があるのか?って聞きますか、いえいえ何の事情もないのでありまして、肝っ玉が小さいだ画像けです。それにしても、改行して3連の詩にしてみたら、もっともらしい詩の体裁でありまして、まるで谷川俊太郎さんの詩のようであります。「法螺」というのは「ほら」でありまして、法螺貝から来たものでありましょうけれども、やたら大きな音で人を驚かす道具であります。山伏なんかが吹くのを思い浮かべます。

ガーリックチャイブの白い花。

「後架」というのは、たぶん「こうか」でありますが、手元の三省堂国語辞書・第四版を引いたら出てきませんので、もはや死語に近い言葉であります。おトイレのことなんですが、「厠」とか「はばかり」とか、「ダブルシー」とか、もう使わない言葉がいっぱいありまして、要するに連想すると臭いからどんどん言葉が入れ替わるものであります。近ごろは「洗面所」とか「化粧室」とか言いますが、私が一番強烈に臭く感じるのは「便所」であります。そういう意味では、上の詩は私の創作ではなくて、随分昔の人の書いたものなのであります。もちろん、昨日今日のたけり狂った政治家の言葉でもなく、朝日新聞を目の敵にする週刊新潮や週刊文春の言葉でもありません。

   正解は、夏目漱石作『坊ちゃん』の主人公、すなわち坊ちゃんの言葉であります。

『坊ちゃん』は、明治39年(1906)に発表された夏目漱石の小説でありますが、そこに上に掲げたような言葉が出て来るのであります。実は3連目が最初に来るのでありまして、新聞をトイレに投げ入れてから、新聞は法螺吹きだとの画像のしっているのであります。そこには何が掲載されていたかというと、坊ちゃんと山嵐が中学校の生徒を扇動して、師範学校の生徒と乱闘事件を起こしたと書いてあったのであります。まあ、大方赤シャツの画策で出来上がったストーリーだろうと坊ちゃんと山嵐は意見が一致しまして、あとで復讐に燃えるのであります。

ツツジが延々と咲き続けています。

8歳上の姉が私にはおりまして、その姉が最初の給料で本を三冊プレゼントしてくれたんでありますが、その一冊がたぶん『坊ちゃん』だったと記憶しております。ここ数日、手元にありました旺文社文庫版でこの『坊ちゃん』を読んでみましたけれども、これはもう大人向きの大衆小説でありまして、10歳の子供にはちょっと難しかったという印象が残っております。初めての給料がたぶん1万円くらいの時代のことでありまして、その時の本というのは偕成社版かポプラ社版だったはずですが、一冊が200円くらいのものでしょうから、合計600円。要するに、お給料の一日分を弟に捧げてしまったのでありまして、今考えたら私は誰にもそんな豪勢なプレゼントをしたことがないのであります。かわいいかわいい弟でありまして、昭和40年くらいの貧しい日本の姉たちというのは、きっとみんなそんなことをして一人前になった喜びを家族に分かち与えていたはずなのです。ところで、手元の旺文社文庫版は、よく見てみたら表紙のところに「別製」とありまして、巻末の奥付には「非売品」となっております。昭和46年(1971)4月1日印刷・発行になっていまして、印刷日と発行日が一緒とは恐れ入りました。そんなものがどうして書棚に紛れ込んでいたのか謎でありまして、きっとこれは私の所有物ではないのであります。何枚かイラストも入っているんですが、イラストの作者などは不明であります。

   姉からもらった三冊のうち、のこりの二冊は何だったのか、ちっとも思い出せないのであります。

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