Anthology of parody poems.もぢり百人一首(17)

17 近ごろは から紅の 竜田川 グーグルなんて 見ずにすまさむ

(通釈)神代の時代のことはともかく、近ごろは真っ赤に水が染まったという竜田川であるけれども、本当かどうか、嘘っぱちなんじゃないかなどと疑ったりせずに、素直に在原業平の言うことを信じて済まそう。もちろん、Googleなんて見ないで。

(語釈)○から紅……真紅を指す言葉。『岩波古語辞典』(大野晋)は、「韓から渡来の紅の意」とする。○竜田川……大和川の支流。生駒山地の暗峠付近に発し、平群町を流れ、斑鳩町神南付近で大和川と合流する。大和川は、奈良県貝ヶ平山の山麓から発し、大阪湾に注ぐが、上流域では初瀬川と呼ばれることが多い。○グーグル……Googleと本歌の「くぐる」を掛詞にしてもじった。Wikipediaによると、Google(グーグル)は、検索エンジン、クラウド・コンピューティング、ソフトウェア、オンライン広告といったインターネット関連のサービスと製品を提供するアメリカ合衆国の多国籍企業である。収益の多くをアドワーズ(AdWords)と呼ばれるオンライン広告から得ている。同社が提供しているインターネット上の検索エンジンのGoogleに関する詳細はGoogle検索を参照。同社の登録商標(日本第4478963号ほか)。Google マップ(グーグル マップ、英: Google Maps)は、Googleがインターネットを通して提供している地図、ローカル(地域)検索サービス。広義で「GIS」という分野のソフト・サービスであり、その中のWebGISにあたる。ここまでがWikipediaによる説明。なお、Googleマップで「竜田川」を検索すると、河川ではなく、近鉄生駒線の「竜田川駅」を表示して譲るところがない。ある意味、使えないとはこのことである。○見ず……「水」と掛詞にしてもじった。○すまさむ……「済まさむ」であるが、「澄まさむ」と掛けてもじった。「澄ます」は、「竜田川」「くくる」「水」の縁語。

(本歌)ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 から紅に 水くぐるとは 
   (『古今集』巻第5・秋歌下・294番 業平朝臣)

『古今集』293番素性の歌の詞書が掛かるようでありまして、それは「二条后の、東宮の御息所と申しける時、御屏風に、竜田河にもみぢ流れたる形を書けりけるを題に位て、よめる」とありまして、屏風絵を見て詠んだ歌でありまして、もしかしたら屏風に書き付けたものかもしれません。だいたいこれが在原業平の代表作なのかどうかという議論もありますし、「くぐる」のところは、くくり染めの「くくる」であるというのに対して、紅葉の下をくぐるのだとして「くぐる」だと主張するわけで、解釈もおぼつかないのであります。それならいっそ、こうしてしまえとばかりに、数年前に考えましたのは、

  知は敗る 紙よも効かず 立った側 カラー呉れないに 見ずグーグルとは(粗忽)

どういう意味なのかは読む人にお任せでありますが、あと1000年もすればこれを根拠に奇妙奇天烈な解釈を施そうとする人も出て来ることでありましょう。前回の歌は業平のお兄さん行平の歌でありましたが、あの歌の「因幡」には画像古来「往なば」が掛けてあるというのが定説ですが、それは後世藤原定家の時代などに、そういう掛詞の歌があるから仕方ないのでありますけれども、行平に掛詞の意識があったかどうか、無かったかもしれないのであります。くくり染めと言われると反論しようもないのでありますが、「水を括る」という言い方が成立するのかどうか。どうもわからない事ばかりであります。

枯葉も紫。新芽も紫。アジサイの葉っぱ。

手動式のミルでコーヒー豆を挽いていたのでありますが、面倒になって電動式のミルを購入しました。実は昔も使っていたのでありまして、長年使っていたものをAmazoncomで見つけて買ったらすぐに壊れてしましまして、それからは手動式でゴリゴリカリカリ、グリグリシュルシュル、とにかく面倒でも豆を挽いていましたが、疲れるなあ、意地を張ってもつまらないなあと思いまして、3年ぶりくらいに電動式を買いました。10秒で二人分が挽けますから、一瞬の作業であります。35年くらい前に作家の辻邦夫さんに原稿を依頼しに行ったことがありまして、大学の研究室で豆を挽いてコーヒーを飲むのが楽しみですとおっしゃっていました。本当に自分がその肉声を聞いたのかどうか、実は夢幻のようで分からないのであります。電動ミルで豆を挽いた瞬間にふと思い出しまして、記憶と言うのはどこから飛び出すのか分からないものなのであります。東京駅の地下、新幹線の待合室のところで、注文を受けてからコーヒーを挽いてドリップするというお店がありましたが、今もあるのかどうか。そっちは、5年くらい前のことでありまして、別に珍しくも思わなかったのであります。

  35年前だと自分で豆を挽いてコーヒーを淹れるのは、かなりの贅沢と思ったものです。

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