Will you be looking at me? 遠くで叱って。

子どもの頃の初夏の頃の話であります。春の到来が遅い高原のことでありまして、我が家の正面にある南の山並みは、ようやく新緑を迎えたくらいで、それも自然林でありますから丈も短くて、その林の中に蕨なんかが芽吹いているはずなのであります。年長の姉などに付き添われて山肌を経巡りますと、ところどころこんもりと茂みを為しているのはツツジでありまして、それがちょうど花をつけ始めたというような光景でありまして、太陽の日差しはあるんですが、暑い画像わけもなく、百名山の一つに数えられている山は頂のあたりに雪が残っていて、遠くに見えるのであります。薄い水色のそらに白い雲が浮かび、それを山肌の枯草に座ってしばらく眺めてから、蕨を適当に採って山を降りました。麓は田植えが終わった後ですが、まだ植えたての苗は育っていなくて、田んぼは湖のような有様なのであります。

朝顔と青空。https://www.photolibrary.jp 

帰ってみると、家の戸は開け放たれていて、薫風が吹き渡っていまして、旅行から戻って来たような気分であります。まだ家の周りの樹木が育っていない頃で、家から見える近所の家々も同じでありまして、ポツンポツンと隣家が見えるわけです。家の中が薄暗く、外が明るいので、田んぼやよその家の住まいがはっきりと見え、その向こうにツツジや蕨の山肌が見えているのであります。その光景の中に、妙な姿をした人の姿が現れまして、たぶん二人連れでありましょう、今考えると天狗の姿でありまして、一人は鼓を手に持っていたのであります。もちろん洋服ではなくて、裃を付けたような、足元は脚絆のようなもので覆いまして、足袋かわらじ履きであります。来ている衣装の柄は、赤や橙の目立つ錦織でありまして、頭には烏帽子を付けていたのであります。私は小さかったので、直接会話をしたのかどうか定かではありません。ただ、しきりに私の方を眺めていたのであります。

   山から天狗がさらいに来たような。どこから来た?

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