Happiness is a horizontal line. 胸の奥の風。(4)

子どものころ育った場所は高原でありましたから、真夏の最高気温がせいぜい28度くらいでありまして、室内に入ればちっとも暑くなかったのであります。室内で汗をかくという経験は上京してからのことで、まさか夏が暑苦しいとは思わなかったのであります。ともかく、からりと晴れた真夏と言うのは7月の下旬だけでありまして、8月に入ると早くも涼しくなりまして、それとともに川に行って水浴びするのも楽しくなくなるのでありました。隣近所は親の代から住み画像着いた人たちばかりでありまして、子どもの頃に老人を見ることがなかったのであります。腰の曲がった老人とか、寝たきりの老人、そういう存在を見かけなかったのであります。よって、夏休みの中盤から、子どもたちは親の実家に行くことが多くて、それも水浴びに行かなくなった理由であります。

サルスベリ

子どもの場合、母親の実家に行くというのが基本でありましょう。祖父母と伯父一家が住む町までは、バスを乗り継いで一時間以上、とてつもない長旅だったのでありますが、祖父母の家は小さな町の町はずれから山間に入ったところでありまして、小山が一つ祖父母の住んでいる敷地でありました。その中腹に家を構えておりましたので、家の裏手は崖になっていて、ぐるりと回り込んで頂上に行くような具合でした。両親の家があったのは火山灰が降り積もっているような火山の麓で、土は水を含むと真っ黒でありました。これに対して、祖父母の家は火山からは遠くて、古い地層でありまして、雲母が混じっているぼろぼろの薄茶色の土の土地だったのであります。家の端は竹藪ですが、竹藪の端がバス停から小山に通じる小道で、小道の片方は崖でありまして、10メートルくらい下を川が流れているのでありました。川に沿って小さな田んぼが見えるのでありますが、田んぼに降りる道は見当たらず、たぶん下流からさかのぼって行かないと田んぼには入れないのであります。祖父母の家には隣近所がないのでありまして、小山の山頂に登ると、南に北に谷間に家が見えるというようなものだったのです。山城と言って差し支えないたたずまいだったのであります。

   絵にかいたような里山の風景でありまして、すごい田舎。


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック