和久井映見 アルバム名曲選(3)

⑧ 雨の日に電話して
    
作詞;康珍化 作曲;羽田一郎 編曲;門倉聡
※第3番目のアルバム「なぜ愛してるふりをするの」の5曲目。第4番目のアルバム「ふたりは夢であいましょう」の10曲目にも。
♪髪の形が少し変わったわ だけどそれだけ

*ハワイアンのような軽いリズムの歌でありますが、別れた彼に対する未練を語っております。この曲の和久井映見さんの声は、他の歌の時と明らかに違っておりまして、この方は曲調によって、あるいは曲想によって、少しずつ声を変えてしまうようであります。どの歌を歌っても、声がまったく一緒と言う歌い手もいるんですが、そうではなくて声で演技をするタイプの歌い手もたまにおります。和久井映見さんの場合は、振り幅が大きくて、最初のアルバムからその特徴が顕著のような気がするんであります。一つの曲の中では安定していますから、声の引き出しがいくつもあって、クリアな高音でまとめる時も、強い低音で押す時もあるようです。この歌では、朗らかな感じで、でも少し寂し気なところもあるんですが、アルバムでひとつ前に位置する「情熱」の声とは異質なのであります。「情熱」は、別の人格みたいな声の出しようであります。こちらの曲は安心して聞ける感じでありますが、あっちは不穏な声でお歌いであります。9点

⑨ だれかがあなたにキスしてる
    
作詞;和久井映見 作曲;亀井登志夫 編曲;菅原弘明
※第5番目のアルバム「だれかがあなたにキスしている」の1曲目。
♪私があなたにキスしてるあなたは知らないけれど

*アルバムの表題作になっておりまして、バックコーラスとボーカルが打ち寄せる波のように押しては引きながら、最後の種明かしまで引っ張ってゆくわけです。ネタバレをしてはダメなんでしょうけれども、恋する心情としては、ごく自然の心情を一曲の中で展開しているのであります。歌い手が詩を書いてしまうというのは、斉藤由貴さんや薬師丸ひろ子さんでおなじみでありまして、歌うことが大好きな歌い手は、当然ながらそういう方向に進んで行くということなのかもしれません。Amazonのprimeでアルバムを一通り聞きまして、それぞれのアルバムから気に入った曲を選抜して、繰り返し聞きましたが、その段階では作詞・作曲・編曲の情報はないのであります。あとで、CDを買い集めて、歌詞カードを見るとびっくりいたしました。歌い手本人の作詞の曲をほとんど選んでいたのであります。彼女は作曲・編曲の人材に恵まれたのであります。もちろん、作詞の才能にも。9点

⑩ 離れても
    
作詞;和久井映見 作曲;玉置浩二 編曲;門倉聡
※第5番目のアルバム「だれかがあなたにキスしている」の10曲目。エンディングの曲。第10番目のアルバム「DEAREST(ディアレスト)」のオープニングに、オルゴール風になって使われています。
♪離れても 離れても 心は揺れないで

*若い恋人が事情があって遠くに行くと決まって、しばらく会えないという状況を描いたものであります。優しいメロディーを奏でながら、不変の愛を胸に秘めているという状況を歌い上げるのでありまして、進学・就職・留学・出張などでこういう経験をした人なら、納得して涙ぐむような一曲であります。落ち着いた内容の詩をさらさらと書いて、与えられたメロディーに乗せて柔らかく歌って行くわけで、聞けば聞くほど心地よいというのが、アルバム全体に行き渡っております。アルバム2番目の「おかえりなさい」(作詞;康珍化 作曲;楠瀬誠士郎 編曲;門倉聡)や、4番目の「ずっとこうしていたい」(作詞;康珍化 作曲;石川Kanji 編曲;門倉聡)なんかも含めて、懐かしい歌謡曲の世界が広がっていて、安心して聞いていられる曲の数々なのであります。8点

⑪ 始まりの夏
    
作詞;芹沢類 作曲;亀井登志夫 編曲;門倉聡
※第6番目のアルバム「PEARLY(パーリー)」の3曲目。
♪なぜ誘ってくれたのか 聞きたいけれど聞かない

*初デートで舞い上がる女の子の心情を捉えたものでありまして、ドライブに行く予定なんですが、彼が車で迎えに来てくれるのを楽しみにしております。その、胸の鼓動が聞こえてくるような、分かりやすい歌であります。80年代後半のアイドルブームが派手派手になって行った中で消滅したタイプの歌でありまして、たとえば榊原郁恵さんとか早見優さんとか、もちろん松田聖子さんなんかがシングルレコードのB面で歌いそうな歌であります。桜田淳子さんや南沙織さんでもありそうなくらいでありまして、大昔ならスバル360でお迎えというシチュエーションです。それで気が付くのは、和久井映見さんがけっこう歌唱力があって、そして森高千里風にも歌えてしまうということでありましょう。振り幅があって、いろんな役回りをこなしてしまう演技力を感じるということであります。サントリーモルツの「うまいんだなあ、これが」の頃でありますから、こんな歌を歌って見せたら、学園祭で引っ張りだこだったろうにと残念がるわけです。8点

⑫ 
    
作詞;白峰美津子 作曲;石川寛門 編曲;門倉聡
※第8番目のアルバム「愛しさのある場所」の7曲目
♪つまらないでしょう あなたの他にはなんにも見えない私なんて

*これはもう、恋にのめり込んだ女の子の自意識過剰の歌であります。ブレーキを掛けよう掛けようとして、がまんすればするほど恋しさが募ってしまうという状態を、半分客観視しながら、恋に溺れていくという状態であります。猫にマタタビの状態でありまして、こころはもう無我夢中なんであります。この曲は、たとえば山口百恵さんのカバーですと紹介されたら納得できそうですし、中森明菜さんのヒット曲ですと言われても違和感がないのであります。そう考えてみても、結構新鮮なところがありまして、坂本冬美さんがカバーしたら、甲乙つけがたいような気がいたします。シングルの方は、もう暖かい曲調の鉱脈を掘り進んでおりましたから、この歌を採用する枠はなかったでしょうけれども、昔のアイドルのように演歌に転進するなら、そのつなぎとしては有効だったかもしれません。9点

⑬ 春の訪れ
    
作詞;井上睦都実 作曲;高野寛 編曲;重実徹
※第11番目のアルバム「心に花が咲くように」の4曲目
♪春の訪れを 頬で胸で感じる

*恋の予感を歌った歌でありまして、ただし初恋ではなく、ちょっと年齢を意識しているというような歌詞も出てきます。のびのびと歌っているボーカルの心地よさが伝わってきまして、メロディーもいいんですが、編曲も巧みでありまして、なんだか朝の連ドラの主題歌だったら、日本中が歌ってしまいそうなわくわくさせる歌いっぷりであります。コーラスも何となく収録に参加した関係者が声をそろえた感じでありまして、それがまた曲調にぴったりであります。このアルバムではエンディングに位置する「背中~愛する人へ~」(作詞;岩切修子 作曲;石田ショーキチ 編曲;菅原弘明)という曲もなかなかよくて、恋人の背中に頬を寄せてうっとりするというバラードであります。結婚後に出たアルバムですから、祝福を込めて歌が提供されたと思われまして、歌手活動の締めくくりとしては、すばらしいピリオドの打ち方なのであります。どっちの曲も甲乙つけがたい。9点

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