今こそ聴くべき斉藤由貴 アルバム名曲選(3)

⑪ Christmas Night(クリスマス・ナイト)
   作詞;斉藤由貴 作曲;岡本朗 編曲;武部聡志
※第6枚目のアルバム「PANT(パント)」(1988年3月21日)の5曲目。ベストアルバム「ヴィンテージベスト」(2008年6月18日)の9曲目にも。1988年11月21日にクリスマスカード付でシングル発売されたが、これ一曲のみでカップリング曲がなかったとか。さらにはなんと、歌詞カードが付いていなかったという情報があります。

   ♪重なったばかりのレール 二人を照らす Crystal Moon

この曲が入っているアルバムの問題点は、曲のエンディングに次の曲のイントロが重なっていることでありまして、もはやアルバム全体を一連のものとして聞くようにと御託宣を頂いたようになっております。その結果、「かわいい あたし」の最後の威勢の良い掛け声が、この「クリスマス・ナイト」の出だしにかぶっておりまして、この曲だけを聞こうとすると毎回驚かされてしまいます。連続再生するとまったく平気なんですが、単独だとうわあと思ってしまいます。曲の方は、ピアノの伴奏に従ってクリスマスの夜の幸せを女性の立場で切々と語ってゆくというものですが、とても粛然としていていい曲だと思います。世間で耳にしたことがなかったはずでありましてファンもどれくらい認知しているのか、よくわかりません。鉄道好きの方なら、この歌はすごく気に入るんじゃないかと思います。夜行列車に乗っているという設定ならさらに言うことなしでありましょう。10点

⑫ morn~透明な壁~(モーン~とうめいなかべ~)
   作詞;斉藤由貴 作曲・編曲;武部聡志
※第6枚目のアルバム「PANT(パント)」(1988年3月21日)の5曲目。

   ♪むかいあい立つ二人 水平に平行に

"morn"というのは、どうも"morning"の古語のようでありまして、普通は耳にしない単語のようであります。"morning"が学習段階でレベル1の初級なんですが、前に出て来た"ripple"がレベル6で大学レベルあるいは受験だと難関大学レベルとありましたが、この"morn"はレベル14とありまして、もはや英国人でも心得のない人はまったく知らない単語のようであります。意味は、「朝」とか「暁」でありますから、日本の古語だったら「あけぐれ」くらいのレベルと言うことでありましょう。「あけぐれ」は夜明け前のほの暗い時間帯を指す言葉であります。鈍感な男のそばにいて、恋心を燃やし続けて疲れた、というような内容の詞でありますが、朝の目覚めの気分がとても悪いというところから生まれた詞のようですが、人と人を隔絶する壁の存在をひしひしと感じるという点では感覚が鋭いのでありましょう。考えてみると、この歌が発表された翌年、東西冷戦の象徴であった「ベルリンの壁」が崩壊するわけで、西がそうなら東は同じ年に「天安門事件」があったのであります。日本はその頃、バブル経済の真っただ中でありまして、若者は夜な夜な踊り狂い、幼女連続殺人があってパトカーが都内を巡回して警戒し、竹藪には一億円が捨ててあったりしたのであります。レンタルビデオを普及させようと、レンタル屋はビデオと一緒にデッキを貸し出していた頃であります。9点

⑬ ガラスの天球儀
   作詞;谷山浩子 作曲・編曲;崎谷健次郎
※第8番目のアルバム「age(アージュ)」(1989年4月21日)の3曲目。

   ♪走れきみのレインコート

このアルバムは、斉藤由貴さんの有名なシングル曲「夢の中へ」と同じ発売日なんだそうであります。それなのにこのアルバムには、「夢の中へ」は入っていないのでありまして、摩訶不思議でありましょう。あっ、いや当たり前ですね。同時に入れちゃ駄目だ。と言うか、シングルとアルバムの同時発売がおかしいのかも知れません。「夢の中へ」を1曲目に入れたベスト盤は、1989年11月29日発売の「Yuki's MUSEUM(ユキズミュージアム)」でありまして、それのどん尻の曲が「LACKY DRAGON」でありますが、それがこのアルバム「age(アージュ)」の1番目に鎮座しております。「夢の中へ」が大ヒットしたのは周知の事実でありまして、ユーロビートに乗って斉藤由貴さんが妙な振り付けを敢行したことで人気を博しました。これはもともと、井上陽水さんのヒット曲でありまして、1973年に出ていたものを、16年後にカバーしてみたらヒットしたのであります。時代はちょうど平成になった頃でありまして、それも随分遠い昔になったものであります。アルバムの中で唯一許せる感じがするのがこの「ガラスの天球儀」という曲ですが、歌詞カードを見てびっくり。私は長らく「走れ君の猫」と歌っているんだと思っていました。「レインコート」ってどういう意味なんでしょうか。8点

⑭ 大正イカレポンチ娘
   作詞;斉藤由貴 作曲・編曲;崎谷健次郎
※第9番目のアルバム「MOON(ムーン)」(1990年7月11日)の2曲目。

   ♪今ね わたしね カフェで働いてるの

考えてみたら、Windows95を手に入れて、音楽が聴けるというので、1989年11月29日発売の「Yuki's MUSEUM(ユキズミュージアム)」を斉藤由貴のベスト盤として手に入れて、10年くらいずっと聴いていたのであります。よって、それ以降のアルバムの曲にはまったくなじみがないわけであります。最近になって、ベスト盤じゃないアルバムを手に入れて聞くようになったんですが、一度か二度聴いて見て、気に入った曲はあったものの、聞きっ放しであります。ほとんど歌詞カードも見ていなかったのでありまして、なんとなくぼんやり雰囲気を味わっていたのであります。はっきり言って、彼女の後半のアルバムは、よくわからない謎だらけな印象でありました。そういう中で印象的なのはこの曲であります。まるで、映画の一場面のようでありまして、これをこのまま膨らませて映画を作るという企画はないのでありましょうか。そうだ、そのためには原作が必要ですから、斉藤由貴さんが演じるための小説を書かないといけないでしょう。しかし、時は流れてしまいまして、今何かするなら、斉藤由貴さんをカフェのママに据えまして、生きのいい新人を発掘して「大正イカレポンチ娘」を演じさせる必要があるわけです。9点

⑮ ホントのキモチ
   作詞;斉藤由貴 作曲;山口美央子 編曲;上杉洋史
※第10番目のアルバム「LOVE(ラブ)」(1991年12月4日)の2曲目

   ♪やめてよ ふざけないで ゴキゲンなのはわかったけれど

たぶん、サンバのリズムで進行する曲でありまして、軽快でちょっとカーニバル気分の盛り上がる歌であります。歌唱は軽い軽い歌いっぷりですが、お茶目で可愛らしいのであります。アルバムの他の曲が、非常に妖しい感じだったり、ある意味深刻そうなものでありますから、この曲の浮遊感みたいなものが非常に目立つのであります。編曲がうまくて、ずっと繰り返し流していてもいいような曲であります。アルバムの名前は「ラブ」もしくは「ラヴ」でありましょうけれども、全曲の作詞がご本人によるものであります。この曲の内容は非常に微妙でありまして、結婚を決めた男性となぜだか学生時代からの友人である女性がドライブしているのであります。だとすれば主人公は男性の伴侶になる女性と友人でありまして、それもとびきりの親友という位置なのであります。それで、おめでとうと言っているんですが、あれれ、この男女は一体どういう関係なのか、分からなくなるのであります。ははーん、そういうことかとわかるような仕掛けでありまして、世間には意外によくある関係かもしれないのであります。おそらく、どこかにこのモデルに当たる三人の男女がいることでありましょう。9点

⑯ 好き!
   作詞;斉藤由貴 作曲;筒美京平 編曲;澤近泰輔 
※第11番目のアルバム「moi(モア)」(1994年12月7日)の6番目

   ♪気分屋でも好き 意地悪でも好き 
      まぬけだけど好き かわいいから好き

アルバムタイトルの"moi"というのはフランス語でありまして、「私」「自分」の意味であります。英語なら当然のことながら"me"なのであります。実は、フランス語で、Excusez-moi ! すみません、ということですから、まあほとんど英語と違いがないのであります。このアルバムは11曲中6曲が洋楽カバーでありまして、そのうち1曲は斉藤由貴さん本人が日本語に訳しておりますが、あとは英語の歌を歌っております。すごく妖艶なのもありまして、歌い手として辿り着いた地点がなんとなくほの見えるのでありますが、なんとなく抜き差しならないところに行ってしまったという感じもいたします。シンガーソングライターなんかの場合も同じかなと思うのであります。その中では、「好き!」という歌は安心して聞くことができる歌でありまして、「好き」を重ねて行くところが聞き所かと思うのであります。問題作はファンなら知っているはずですが、安心して聞ける曲もあるのだということを示して見ました。8点

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