今こそ聴きたい薬師丸ひろ子 アルバム名歌選(1)

最近もアルバムを出したり、コンサートを開いたりと、歌手活動の盛んな薬師丸ひろ子さんでありますが、もともとは映画館を満員にしたアイドル女優であります。数年前にNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で、高飛車な大物女優の役を演じまして、宮藤官九郎さんの脚本では「歌が下手」というのが大事なネタでありました。もちろん、実はめちゃめちゃ歌がうまくて、ドラマの中で周囲を驚愕させるというオチが付くのでありました。薬師丸ファンとして知られているクドカンの、世間の認識と実際の本人の落差を利用した絶妙の筋書きでありまして、ドラマは大いに盛り上がったのであります。デビューした「セーラー服と機関銃」という曲の、たどたどしい歌い方しか知らない世間は、彼女を今でも音痴だと思っているのであります。実は、あり得ないようなソプラノの歌い手でありまして、やっぱりベストテン番組の悪影響を受けた私なども、そういうことを知らなかったのであります。薬師丸ひろ子さんのアルバムは、基本的にシングル曲を入れていなかったので、知らない人はまったく知らないのであります。ベスト盤に入っていたりする曲もありますが、アルバムの発売順(①~)に思いつくまま、いいなあと思う歌(アルバム内の曲順を(1)(2)として)を紹介します。聴きどころのフレーズを♪で示します。10点満点で評価を示しますが、あくまで個人的な見解です。

① 『古今集』1984/2/14

 (1) 「元気を出して」 

作詞・作曲;竹内まりや 編曲;椎名和夫
♪人生はあなたが思うほど悪くない

※失恋した親友を励ます女友達の立場の歌でありましょうけれど、まったりしたリズムの暖かい歌であります。ファンの人ならシングル発売されていなかったのを不思議に思ってるはずで、ベストアルバムには常に入っているのであります。最初から、この歌い手が抜群にうまかったことがわかる一曲。8点

 (4) 「カーメルの画廊にて
 
作詞;湯川れい子 作曲;大野克夫 編曲;鷺巣詩郎
♪ダイヤルすれば 貴方に逢える そんな気がして そうよ BAKAな子

※カリフォルニア州のモントレー半島の南側にあるのが、芸術の街カーメルでありまして、1986年からクリント・イーストウッドが市長を務めたところでもあります。ちょっとありえないような高い声が味わえるのと、最後の歌詞が自虐的ですが、ここがパンチのある歌い方。7点

② 『夢十話』1985/8/8

 (4) 「過去からの手紙」 

作詞;竹内まりや 作曲;井上大輔 編曲;武部聡志
♪長くせつない別れ 言葉じゃうめられない

※別れた彼から手紙が来て、復縁を求められているけれども、電話をして断りを入れる、というような未練と拒絶の間で揺れる女心を歌っています。イントロの不安感をあおる編曲が見事であります。それにしても、普通の歌い手なら裏声だろうと思うような高い声でありまして、女優として演技している時とは異質の声を堪能する一曲。9点

 (9) 「水の中のイエスタディ~再会物語~」 

作詞;売野雅勇 作曲;宮川泰 編曲;大村雅朗
♪あなたひとりが時を止め 同じ想いでいたんだね

※少年少女の、恐らくは避暑地の海岸での再会の歌であります。だれもが憧れる初恋の成就の話でありまして、薬師丸ひろ子さんを1985年くらいに見たら、こんなドラマを思い描くだろうなと言う、アイドルソングでありますが、これがなかなかいいのであります。アルバムだからこそできる仕事でありまして、三島由紀夫の短編小説にこんな雰囲気のものがありました。ミステリアスで感動的な恋の相手との再会の息遣いを見事に表現しています。8点

③ 『花図鑑』1986/6/9

(6) 「麦わら帽子のアン」 

作詞;松本隆 作曲;筒美京平 編曲;武部聡志
♪今日は天使の顔をしてるの? 不機嫌だったらしげみにかくれるよ

※赤毛のアンをモチーフにして作られた歌ですが、男の子の立場で、気になるアンのことを待ち伏せしているという内容です。シングルには絶対にならないだろうというような淡白な内容ですが、テレビアニメの「赤毛のアン」で育った女子なら、気にいるだろうと思うのです。「麦わら帽子のアン」を何度も舌足らずに繰り返すのが印象的。7点

 (8) 「紫の花火
     
作詞;松本隆 作曲;薬師丸ひろ子 編曲;松任谷正隆
♪最初に好きになった私が最後の言葉切り出すなんて

※花火の晩に別れを切り出すという歌でありまして、わがままな女の子の歌であります。別れの理由は不明ですが、遠距離恋愛の疲れのような気がいたします。作曲者がご本人でありますが、無理のないメロディラインで、別れの場面がくっきりとわかるんであります。女優さんとしての薬師丸さんの演技が目に浮かぶ一曲であります。初デートが花火と言う人は多いことでしょうが、別れとなるとさてどうか? 作詞者の技に感服の一曲。余計なことを言うと、別れ際にもう一度男が引き寄せてキスでもすれば、すぐに復縁するというパターンです。8点

④ 『星紀行』 1987/7/6

(4) 「光と風に抱かれて」 
     
作詞;伊集院静 作曲;中崎英也 編曲;椎名和夫
♪笑っている あなたを見てると 元気が出る 勇気がわくの

※弾むようなリズムに乗せて、温かなラブソングが奏でられてゆくんでありまして、いい歌だと思います。結婚式にお祝いの歌として薬師丸さんのような爽やかなソプラノで歌ったら、絶対祝福気分が盛り上がると思うのであります。シングルの曲とはまた違った味わいです。女優としての薬師丸さんのイメージにかなり重なっていて、健康的な一曲。おすすめです。9点

 (8) 「日差しのSTEADY BOY
     
作詞;伊集院静 作曲;松尾清憲 編曲;西平彰
♪アクセルふかし 音にまぎれて 好き 好き つぶやく

※国道16号線をドライブしてデートしているという内容の、ある意味平凡なアイドル歌謡であります。「steady」というのは、安定したというような意味ですが、「ステディな関係」と言う時の言葉でありますから、この場合は、そばにいて安心なくらい、惚れているし惚れられているという意味であります。ずっと付き合っていて相思相愛の関係にある少年への想いが主題で、それを軽快なメロディで展開しますから、暑い季節のドライブの楽しさが歌全体に溢れます。彼はジープで迎えに来る少年なんですが、ハイスクールから一緒でありますから同級生で、近頃はぐんとたくましくなっていてもうちょっとで青年なのであります。この辺で、ちゃんと好きだと言いたいという女の子の愛くるしい歌でありまして、最後にちゃんとオチがあります。7点

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