Zeal has wings.熱しやすく冷めやすい。(9)

日々暮らして行くには、ちょっとした技術が必要でありまして、なかには民族レベルで知恵として受け継がれているものもありまして、知ると知らぬでは大違いだったりします。食べ物の扱いだって、世界的には驚くような保存方法や調理方法があるわけで、知らないと間抜けだったりするのでありますけれども、そう簡単には身につかないものであります。チーズなんてカビでありまして、カビを利用している食品は日本の味噌なんかもそうで、家庭で味噌を仕込むと、味噌樽の中の味噌の表面はしっかりかびていたものであります。

子供の頃を考えたら、朝と夕方は釜で炊いたご飯を食べていたのでありまして、つまり炊き立てのご飯をいただいていたのであります。朝は大量に炊きまして、たぶん弁当などにも詰めていたのですが、残ったご飯は夕飯前におにぎりにして食べていたのを思い出します。寒くない季節はそのまま冷や飯を握ったものに味噌を付けて、冬にはたぶん焼きおにぎりにして、それはお醤油を絡めて、小腹を満たしたのであります。いつだったか、我が家の子供に焼きおにぎりをして見せたら、貧しそう、と言われまして、それからは焼きおにぎりは自分で必要な時に試みるのであります。夕飯前の焼きおにぎりは豊かさの象徴でありまして、夕飯にはまた炊き立てご飯というのは、限りない幸福の象徴でありましょう。親に恵まれないと、そうはいかないはずであります。

余り物を上手に消費するというのは、実は余裕の表れでありまして、中古の商品を安く手に入れて済ませるというのは、気持ちに余裕がないとできないことなのであります。新品じゃない物のどこに価値を見いだすかというのは、結構難しいもので、たぶん新品じゃないと許さないという価値観も世の中には根強いかもしれません。もう本もCDもたたき売り状態でありまして、近頃は80円という値付けを見ることがあります。この時期だと中古を扱う店先でホコリを被っていたりするのでありますが、買って帰って、本ならカバーをちょいと拭うときれいになりまして、中身は読んだ形跡が皆無という場合が多いのであります。特に出版社の新刊の紹介チラシが挟んであったりすると、これは紛れもなく新刊の時に店頭に並ばずに倉庫で眠っていたものであります。CDもケースの汚れを洗って落とすと、キズ一つないという時がありまして、単に出荷して輸送のどこかで汚れがついただけで、手垢が付いているわけではなかったりするのであります。ひと手間を惜しまないと、新品同様という状態になります。

    だからどうだってことはないのでありますが。

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