和久井映見 アルバム名曲選(1) 

和久井映見さんのシングル曲をあれこれ評してみましたが、デビューから8年間の足跡をたどってみると、全26曲から感じたことを言語化してみて、いくつか面白いことが見えて来たような気がします。歌い手ご本人の音楽の嗜好であるとか、1990年代にアイドルを売ろうとする制作側の意図だとか、そう言うことでありますが、それは素人考えで勝手に述べたものであります。人気者がスターと呼ばれる時代から、やがてアイドルと言う言葉が定着した時代に、テレビやラジオのベストテン番組を視聴しておりましたが、80年代以降はもう歌謡曲に興味をなくしました。ところが、YouTubeが人気を博し、中古のCD市場が出現して、自分の好みのものを発見する機会が多くなった結果、面白いことに気が付きました。

たとえば、プロの作詞家・作曲家、そして編曲者が作り込んで、アイドルが歌わされた曲の中になかなかいいものがあるということであります。その背後には制作サイドのプロデューサーがいたりするらしいということも、ぼんやりと分かりました。また、たとえば、アルバムにいいものがあるということであります。シングル曲によって形成される流行歌謡曲の世界とは違うものが見えてくるのです。考えてみると、70年代に団塊世代の兄や姉の聞いていたレコードのアルバムを、ずいぶん勝手に聞きまして、それは同学年の子供との間では話題にしませんでした。吉田拓郎だとか、井上陽水だとか、先日亡くなった西城秀樹さんだとか、そういう人のアルバムを面白く聞いていたのであります。もちろん、アルバムがブームの場合もあったのでありますが、テレビに反映しないものも存在するということです。歌謡曲の世界も奥が深く、探検する場所はいくらでもあると思います。

ネットでいろんなサイトが作られておりまして、その中には有益なものがたくさん見つかります。単なる感想を述べているだけのサイトもあるんですが、そういう毀誉褒貶だけのサイトと違って、データが完備していたり、膨大な資料を収集していたりするのであります。ある、大昔のアイドルをWikipediaで調べた時に、そのアイドルの名前で出て来たサイトをしらみつぶしにお終いまで見てみたら、そういう貴重なサイトに行き当たりました。上位は、同じ情報をパクったものが多くて、一つのネタでまことしやかにブログを飾っているサイトが目につきましたが、中位から下位に及ぶと宝の山が出現して驚いたものであります。例えば、人気歌手のシングル発売の時期と売れたレコードの数をまとめたサイトによって、どんなに人気があっても5年は持たない、というようなことがわかります。逆にヒット曲を持たないので、何十年もシングルを出し続けている歌手もいるのであります。また、週間ベストテンをまとめたものを見ると、どの時代に何が本当に流行していたか分かるんでありますが、その結果は意外なものであります。アイドルの時代も、フォークソングの時代も、演歌の時代も、実は案外短い。一発屋の歌がたくさんあって、懐かしいのも出ているが、懐かしくもなんともないのも結構あるということです。奇抜な歌、はっきり言ってゲテモノがもてはやされる傾向もあります。それと、一度人気が出ると、出す歌ごとに売れているけれど、二番煎じで名曲とは言えない歌が目につきます。

今でも、テレビで「懐かしの名曲100」なんて企画がありますが、それ自体がマンネリ化して、ある意味過去の捏造のように見えることがあります。当然のことながらそうした企画も、現在の都合による「懐かしさ」「名曲」でありまして、広く世間から懐かしい曲を募っても、本当はうまくデータが集まらないことでしょう。ばらばらの好みが現れるだけで、結局、それらしく調整をしないとバランスは取れないような気がいたします。それからまた、ある年やある月や、ある週のベストテンを持ってきても、場違いな曲が入り込んで、本当は少しも楽しくはないのであります。じゃあ、何が楽しいか、ということですが、おそらく誰かが趣味で集めたものを眺めて、その中にマイブームになりそうな曲を見付けることかと思います。基準は懐かしさなんかには置かず、今の自分に新鮮なものを見いだすことに意味があると思うのです。そういうものをYouTubeで見つけたことも何度もありますし、最近はAmazon・primeで見付けました。ジャングルに分け入って、密林の奥の花園を見付けるのは楽しいと思います。

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