粗忽庵日記    

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zoom RSS God only knows. 自然の脅威という物を考えてみる。(10)

<<   作成日時 : 2011/03/18 22:03   >>

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画像本の紹介です。百目鬼恭三郎著、『新古今和歌集一夕話』という単行本であります。著者の名前が読めないし、書名も癖がありますね。ただし、読書通の方は知る人ぞ知る有名人、その教養を余す無く発揮した名著であるはずです。すいすい読める物ですから、気持ちよく読んで、すっかり忘れておりました。鴨長明のことを書いてある本は他にないものかと、多くもない蔵書を眺めて目に入ったのがこの本ですね。

どうめききょうざぶろう。しんこきんわかしゅうひとよがたり。

もうちょっと工夫すると、和歌になりそうな、微妙な長さでありますね。五七五七七になりそうで、なっていませんね。百目鬼さんは、朝日新聞の名物記者で、書評でならした方であります。書名の方の「一夕話」というのは、江戸時代の名著『百人一首一夕話』という本を真似ているんでありまして、そのことは本文の始めにちゃんと触れているのであります。尾崎雅嘉(おざき まさよし)というのがその本の著者ですが、ウィキペディアには、この江戸時代の著者の項目が無いのだそうです。困りましたね。

   物の本を見たらちゃんとありますよ。江戸時代の有名人尾崎雅嘉ですものね。あるのは当然。

『日本古典文学大事典』(明治書院)にありました。それを元にして紹介すると、尾崎雅嘉(おざき まさよし)翁は、宝暦五年(1755)生まれで、亡くなったのは文政十年10月3日でありまして、お年は73歳ですから、この当時としては長寿と言えましょうね。大阪の方で、医師を営んでいたこともあるのですから、優秀で人望もあったと言うことです。契沖に私淑して国学を勉強し、たくさんの本を書いたそうです。代表作は『群書一覧』というもので、大変役立つ物だとありますが、余り記憶にありませんね。今では、『百人一首一夕話』くらいしか見かけません。私の視野が狭いのはもちろんですから、もっと今でも出ているのかも知れませんが。

   ながむれば ちぢにもの思ふ 月にまた わが身一つの 嶺の松風(鴨長明・397番)

ともかく、百目鬼恭三郎さんは、『百人一首』とダブらないようにしながら、と思ったら時には大胆に同じ歌を紹介して、『百人一首』よりもっと面白い『新古今和歌集』の歌を紹介しようと目論んだようであります。学者さんなんかと違って、核心の所にすばやく切れ込みますから、何だか自分が賢くなったような錯覚を覚えます。あらかた忘れていたので、また一週間くらい楽しめそうですね。しめしめ。百目鬼さんが選んだのは、秋歌上の歌ですけれども、なるほど曲者であった百目鬼さんらしく、鴨長明の曲者らしい技巧の歌を選んだのであります。それを、褒めちぎるのかと思いきや、そこを突破口にして時代の中で浮いていた鴨長明を丸裸にして行くのであります。目の付け所が違うね。

   月みれば 千々にものこそ かなしけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど(『古今集』・大江千里)

これは古典の話ですから、アーティストの大江千里さんではありませんので、迷い込んだ方はあしからずご了承下さい。ともかく、鴨長明は鎌倉時代初期の歌壇の流行であった「本歌取り」という技法で歌を詠んだわけでありますが、教養豊かな百目鬼恭三郎さんはそのへんの学問的なことはさらりと触れて、本の歌を使いながら、それを否定してみせる鴨長明の曲者ぶりを指摘するんであります。大江千里は、自分だけの秋じゃないのに悲しいよって理性を働かせるんですけれども、鴨長明は嶺の松風を聞いているのは自分一人ですごく悲しいよ、というふうに本歌の根底にある主観的なセンチメンタルを解放してしまうんですね。歌は情緒的だけど、歌の作り方はとても理知的で作為的なのであります。百目鬼恭三郎さんの分析がうまいから、こちらもつられてかっこよく整理できてしまいます。どうも、鴨長明と百目鬼恭三郎さんは似ているのではないかという疑いがありますね。

    和歌所から失踪した鴨長明と、朝日新聞をけんか腰で飛び出した百目鬼恭三郎さんは、似ている。

画像フォトライブラリーのフリー素材「チワワ」をダウンロードいたしました。カメラマンは、*Emi* さんですが、プロフィールには「素材のご利用ありがとうございます^^主に愛犬・風景などの素材を提供しております」とありました。水色の服を着たチワワでありまして、かわいいですね。

リンク先URL : http://www.photolibrary.jp/

我が家の東日本大震災は、ひとまずけりが付きました。ご苦労様でございました。三春町の要田中学校でお世話下さった皆さん、本当にありがとうございました。水色のパーカータイプのトレーナーを下さった方々に、深く深く感謝の意を表したいと思います。あれから五日間ずっと着ていたようですよ。お風呂にもやっと入れたようであります。要田中学校を離れた後で寒い夜を二晩過ごしたようですから、着せていただいた物が無かったら、どんなに辛かったことでしょうね。頑張ったね、とねぎらいましたら、ようやく笑顔を見せてくれました。あれの証明書とともに、着の身着のまま、何も持っておりませんでした。よくもまあ生きていたものであります。付き添って見送って下さった方々には、お礼の言葉もありません。どんなにご苦労されたことでしょう。ご自身もたいへんだったことでしょうに。とにもかくにも、禍福はあざなえる縄のごとしと申しまして、皆様に幸福がやってくることを祈っております。

    たくさんの死があるからこそ、生きている命にもわずかな光があるのでありましょうね。合掌。   

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