Morning sun will dry tears. 生きて行けるかも。(9)

たぶん小学校の二年生の時だったのでありますが、夏休みの終わりに、どこにも旅行に行っていないので作文が書けないと、親に訴えたことがありました。父親は屋根のペンキ塗りをしている最中でありましたが、案外生真面目に応対して、そそくさと準備をして、じゃあお城でも見せてやるかと、オートバイの後ろに小学校二年生を乗せて、80キロくらい先の名城を目指して発進したのであります。だいたい、長い時間子どもが親の背中に縋り付いてバイクに乗り続けていられるのかどうか、余り父親も考えなかったようであります。ただ、バイクが大好きで時々ふらふらと一人で旅をして来た画像そうですから、末っ子のわがままは遊びに行く口実だったのかもしれないのであります。通行量の多い国道をひた走りまして、途中どれくらい休憩を取ったのか、それも覚えていませんが、ともかく目的地には到着して、お城を見学して、さて帰ろうということになったのであります。

ハイビスカス

帰るにあたって、もしかすると近道を考えたのかもしれないのでありますが、山越えの道を選択したようであります。しかし、お盆を過ぎた頃ですから、日暮れが意外に早かったようで、舗装も十分ではない道では先行きが不安だったのでありましょう。山中にある湯治場に来たところで、父親は宿を取ろうとしたようであります。温泉街の旅館は、それまでの山道とはうって変わってロビーにまぶしい光が溢れまして、ガラス越しに浴衣を着た宿泊客が大勢見えまして、たぶん夕食を大広間で食べて部屋に戻る途中でロビーでぶらぶらしているという風情でありました。父親がフロントと交渉しているのを、何人もの客が好奇心いっぱいで眺めておりまして、それを小学二年生が観察するという具合だったのであります。どうやら宿は満杯でありましたが、父親の交渉がうまくいったようで、大広間の脇の控えの間のようなところを特別に使わせてくれることになりまして、そこに一応茶菓を用意し、どうぞと通されたのであります。

   その時の茶菓子がマコロンでありまして、今でも感無量。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック