Waste not, want not.もったいない。(7)

粗忽庵方丈記、はじまりはじまり。

時の流れは絶えずして、折節見る国土の様も刻々と移り変はり、昨日と同じかと見ればさにもあらず、道も家屋もいつの間にやら新しくなれり。新聞・テレビに取り上げられたる情報は、かつ消えかつ生まれて、久しく画面・紙面に留まりたるためしなし。世の中にはやりすたる人も物事も、またかくのごとし。

人気アイドルグループは解散し、若い女優が朝の連ドラをぞにぎわす。江戸を改め東京の周辺に、高さを競えるタワーマンションも、相も変わらず狭小のウサギ小屋も、それぞれの経済状態にて選ぶものなれど、今もお住まいですかとたまたま尋ねてみれば、昔のまま住み成したる家は稀なり。或いは去年住人が亡くなりて今年更地と為したり。或いは平屋の5DK庭付き住宅滅びて、3階建て6軒庭ナシ駐車場付きと為す。昔水の出た低地湿地、豪華マンションとなりパワーカップルの自慢の種となる。住む人も是に同じ。住居表示も変更なく、地域人口も多かれど、いにしえ見し人は二三十人が中に一人として無し。西に月が沈み、東に日が昇るかのように、知らぬ間に入れ替はる有り様は、ただ天体の目まぐるしさにこそ似たりけれ。

知らず、世の中の新奇なる流行、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。また知らず、新しき家電にスマホ、さらには何とかペイ、ことごとに老若男女問わず心を悩ませ、何のために人々をくすぐる。その持ち主とアプリと、無常を争ふさま、いはばお笑い芸人の盛衰に異ならず。或いは相方落ちぶれて、花のある片方が芸能界に残れり。残ると言へども、薬物・闇営業、暴力沙汰・不倫、少しの油断と傲慢にて瞬時に放逐となる。或いは花のある片方姿を消して、冴えのなき相方なほ消えず、消えずといへども、遅かれ早かれ人気回復の機会を待つ事なし。

予、物の心を知れりしより、六十余りの春秋を送れる間に、世の不思議を見ること、かなりの頻度に及べり。

去んぬる昭和の終り・平成の始めのころかとよ。好景気の風はげしく吹きて、夜の巷の踊り場も静かならざりしバブルのころ、バブル崩壊の兆しいつの間に日本列島に現れ始め、つひには証券会社・銀行に至る。果てには都市銀行潰れて救済のための合併に走り、株価は下落して、株券は一夜の内に紙屑となりにき。原因は不動産投資とかや。好調を極めたる輸入による法人の金余りから出で来たりけるとなん。対策に迷ふ政府をしり目に、とかく影響が出始めるほどに、大風呂敷を広げた金持ち、知識人の誰も彼もが損失を被れり。人の営み皆おろかなるなかに、さしも危ふきことにて財を成さむとて、借金してまで株やら土地をさへ買ひたるは、すぐれてあぢきなくぞ侍る。

また平成のころかとよ、おびたたしく大地震に揺れたること幾たびも侍りき。日本全土に時を置かずして地震の襲ふこと、古来いくらもあることなれど、ネット時代の到来したりし結果、被害の様刻々と伝はり来たる。そのさま世の常ならず。街は火が出でて煙立ち上り家屋は塵芥に帰し、山は崩れて河を埋め、海は傾きて陸地をひたせり。津波にて異常をきたしたる原子力発電所は爆発し、放射能あまた漏れて山紫水明の地を汚染せり。恐れのなかに恐るべかりけるは、ただ地震なりけりとこそ覚え侍りしか。

また令和に成りてすぐのころ、房総半島に大風吹いて被害をもたらせり。それもつかのま、東日本の広範囲に大雨降りに降りて河川氾濫し、道路も橋梁も住宅も押し流せり。明けて今年は世の中落ち着くかと思ふほどに、あまりさへコロナウイルス新型肺炎、中国の武漢あたりより発生して、世の人々震え上がりて情報を求むるも、その日を経つつ広がりゆく伝染のさま、蜘蛛の子を散らすのたとへにかなへり。豪華客船に閉じ込められたる乗客たちのパンデミックの様、目もあてられぬこと多かり。まことにや、下船した乗客たちは、最寄り駅から電車でごく普通に移動して帰路に就きけるとか。あとで熱を発して陽性と聞けば、公の司がやすやすとそれらを解放したるは狂気の様なり。(続く)













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