和久井映見 アルバム名曲選(2)

さて、秘密の花園の紹介であります。こんなお花畑が広がっていようとは、思いもしませんでした。桧枝岐方面から山を越えて入り込む、水芭蕉の咲く尾瀬の湿原の木道のような感じであります。行ったことがない? まあ、たとえるなら天国でありましょう。ぜひ、長蔵小屋でコーヒーでも飲んでください。

数字は単に紹介の順番です。♪は、曲の中で聞き所と思う、素敵なフレーズ・メロディの部分を、参考までに挙げました。点数は、最高点が10点。

① 瞳のボサノバ

作詞・作曲;CANCAMAY 編曲;門倉聡
※第1番目のアルバム「FLORA(フローラ)」の2曲目
♪あなたにもし 誘い出されるなら 行けない場所などないのに

*歌い出しが、やっぱり低音であります。軽快なメロディー。たぶん、デビュー曲の候補の一つだったと思われます。「天使にスリルをおしえてあげて」と同工異曲なんですが、そっちはキスにこだわる歌なのに対して、こちらは「瞳」の絡み合いを主題にしておりまして、どちらも面白いと思います。8点

② 夢で会いましょう
    
作詞・作曲;CANCAMAY 編曲;門倉聡
※第1番目のアルバム「FLORA(フローラ)」の3曲目。第4番目の「ふたりは夢であいましょう」の1曲目。
♪そして あなたが どんなに素敵な人かを わたしが教えてあげる

*やさしく、丁寧に歌われた曲で、シングル第一弾のカップリング曲「シンプルな理由」と同じような、高音でささやくところが聞き所。エンディングで、マックスの音に挑戦しています。8点

③ マイ・ラヴ
    
作詞・作曲;CANCAMAY 編曲;門倉聡
※第1番目のアルバム「FLORA(フローラ)」の10曲目
♪なにもかもなくして 愛は終わったけれど

*ゆったりとしたテンポで紡ぎ出される失恋の情感が、なかなか捨てがたい一曲。ちょっと恥ずかしいアイドル歌謡です。内容的にはやはり「シンプルな理由」と同工異曲でありまして、しみじみした歌がご本人のキャラクターに合っていたのでありましょう。最初のアルバムを買った人は、おそらくこの歌が大好きだったんじゃないかと想像が付きます。80年前後なら、これでデビューしても充分だったはずなのです。7点

④ 手紙をください
    
作詞・作曲;CANCAMAY 編曲;門倉聡
※第2番目のアルバム「LUNARE(ルナーレ)」の3曲目。第4番目のアルバム「ゆたりは夢であいましょう」の5曲目にも再登場。
♪とても心配なの あなたのことが

*短い電話の後で、すぐに届いた心のこもった手紙を読んでいるような気分であります。ちょっと年上の包容力のある女性が、遠くから働き者の自分を労わってくれて、早く戻って来てねと言ってくれているような内容であります。もはや、女神さまのような存在でありまして、岩崎宏美さんの「聖母たちのララバイ」の女性を、もっと美しくりりしく、それでいてしっとりさせたような感じであります。戻ったら膝枕で子守唄をおねだりいたします。10点

⑤ さわがしい情熱
    
作詞;戸沢暢美 作曲;亀井登志夫 編曲;門倉聡
※第2番目のアルバム「LUNARE(ルナーレ)」の9曲目
♪私はあなたの 優しいキスを こばむかしら

*ボサノバ風のリズムに乗せて軽快に、しかし大げさではなくひそひそと歌いまして、待ち人来たらずの切なさを歌った歌。これも、「手紙をください」と同じで大人の歌でありますが、こちらの女性はたぶん愛人であります。何か男にいいことがあって、お祝いの用意をして待っているんでありますが、案の定、彼はなかなか姿を見せないのでありまして、しかしながら立場をわきまえていて我慢しているんであります。諦めが半分でありますが、執着も充分あるという微妙なところを、これを二十歳前後で歌いこなす力量が、ちょっと怖いくらいであります。艶があるんですね。9点

⑥ 逢いたかった
    
作詞;和久井映見 作曲;亀井登志夫 編曲;門倉聡
※第3番目のアルバム「なぜ愛してるふりをするの」の2曲目
♪あなたにかわる人なんて どこにもないの

*低音でひそひそとはじまりますが、しっかりとした声で「逢いたかった」と歌っています。しかし、「どこにもいかないで」のあたりから重量感のある歌いっぷりで、やはりこれはオーケストラに近い編成をバックに、ロックコンサートの雰囲気で、ちょっと客席を熱狂させるような感じの歌であります。バックコーラスもよくて、編曲がうまいと思います。舞台の上を縦横無尽に動きながら、客席の向こうに描く「あなた」に向かって切々と訴える歌い手の姿が見えてしまいます。作詞がご本人でありまして、そう指摘されなければ、プロの作詞家の作品であります。和久井映見さん自身が作詞したものは、シングルには採用しなかったようです。歌い手さんの作詞としては、おそらく水準以上。9点

⑦ 情熱
    
作詞;康珍化 作曲;小倉博和 編曲;門倉聡
※第3番目のアルバム「なぜ愛してるふりをするの」の4曲目。第4番目のアルバム「ふたりは夢であいましょう」の8曲目にも収められています。
♪友達へと戻るくらいなら もう逢えないふたりになる
 
*三角関係の歌でありまして、略奪愛であります。謎が多くて、その謎解きだけでも十分暇を潰せそうであります。この歌を聞いて感じるのは、デビューした頃の斉藤由貴さんに、作詞家・作曲家が託したイメージであります。あの「AXIA ~かなしいことり~」「白い炎」「初戀」「情熱」(←もちろん別の歌)なんかの世界に対して、90年代の職人が真っ向勝負を挑んでいる感じであります。あちらが、教会の聖歌隊という下地に対して、こちらは80年代アイドル歌謡に加えて洋楽ロックの影響という違いがありそうであります。つまり、コーラス部のソロに対して、こちらは同好会のバンドのボーカルが迎え撃つということです。この歌を歌った時の和久井映見さんの実年齢はたぶん22歳ですが、歌の主人公の年齢をそれで縛る必要はないかと思います。友達というからには、同級生でありまして、だったら幼馴染みなのであります。どちらも家庭を持っていると考えると、いきなりドロドロのダブル不倫になるわけです。舞台は雪景色、赤い車だから男はちょっとお金持ちでありまして、実業家の御曹司か、病院の跡取りとなっている医師あたり、久々に地元で開かれたアラサー記念の同級会が彼女の昔の恋心に火をつけたんでありましょう。新幹線の駅まで送ってあげる途中の峠道で、二人は互いの本心を知ってしまったというような状況です。10点

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